名づけられない感情、理解されない痛みを詩的リアリズムで描く 「そこにきみはいて」公開決定


監督・竹馬靖具、原案・中川龍太郎による映画「そこにきみはいて」が、2025年11月28日より劇場公開されることが決まった。
「そこにきみはいて」は、名づけられなかった感情や誰にも理解されない痛みを、繊細かつ大胆な詩的リアリズムで描いた作品。海沿いの街を旅する香里(福地桃子)と健流(寛一郎)は、恋人というより、どこか家族のようだった。だが入籍が近づいたある日突然、健流は自ら命を絶つ。互いにとって一番の理解者だと信じていた香里はショックを受け、健流と出会う以前のように他人への心を閉ざす。そんな中、香里は健流の親友であったという作家・中野慎吾(中川龍太郎)を思い出し、彼の元を訪ねる。健流の知らなかった一面を知るために、ふたりは街を巡る。
主演を務めるのは、福地桃子。舞台「千と千尋の神隠し」などで主演を務め、是枝裕和監督の短編映画「ラストシーン」にも出演している彼女が、当て書きされたヒロインの香里を演じる。「菊とギロチン」「ナミビアの砂漠」などの寛一郎が、香里と特別な絆を結ぶ健流役を務める。ほかに、兒玉遥、朝倉あき、筒井真理子らが顔をそろえる。
原案は、「走れ、絶望に追いつかれない速さで」「四月の永い夢」などの、映画作家で詩人の中川龍太郎。中川の盟友である、「今、僕は」「蜃気楼の舟」「の方へ、流れる」の映画作家・竹馬靖具が監督・脚本をつとめ、静かな映像と誠実な語り口で、誰かと共に生きることの難しさと希望を描き出している。
【コメント】
■竹馬靖具(監督・脚本)
中川さんから原案を受け取ったとき、正直に言えば、私にはこの脚本は書けないと思いました。
けれど、主演の福地さん、中川さん、寛一郎さんという3人の存在から強いインスピレーションを受け、この物語は、自然と輪郭を持ちはじめたように思います。
福地さんは、非常に難しい役柄に真正面から向き合い、見事に演じてくれました。
この役を演じられるのは、やはり福地さんしかいない──作品が完成した今、あらためてそう感じています。
■中川龍太郎(原案・中野慎吾役)
”演じる”ことによってのみ癒すことができる痛みがあることを竹馬監督に教えていただきました。
”中野慎吾”という小説家は、自らの痛みから目を背けることで大切な人たちを傷つけつづけてきた人物です。
その姿には、自分が監督として映画に関わる中では表現できなかった感情や言葉が詰め込まれています。
拙作『走れ、絶望に追いつかれない速さで』が公開されてちょうど十年。
あの時、観客の皆様との対話を通して、自分の抱えていた問題にわずかな光明が見えた気がしました。
あの日々のように、この作品を見ていただいた方々と対話できる日を楽しみにしています。
■福地桃子(主演・香里役)
私たちはどこまで行けるのだろう。深い繋がりがあると信じるふたりの人生の1ページです。
信じたい気持ちと信じるということが、すれ違うことを知っている。“ほんとう“を知りながら、人はどこまで信じることができるのだろう と考えます。
じっくり流れていく時間の中には沢山の学びがあり、大切な時間を過ごさせてもらいました。
この作品を通して、彼らの人生を通して、皆さまに何が届くのか、楽しみにしています。
■寛一郎(健流役)
自分自身の一つの節目を刻んだ作品。
大切な作品です。
監督共演者共に素敵な出会いでした。
少しでも多くの人に見てもらえることを願ってます。




【作品情報】
そこにきみはいて
2025年11月28日(金)よりヒューマントラストシネマ渋谷ほか 全国順次公開
配給:日活
©「そこにきみはいて」製作委員会
記事提供元:映画スクエア
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