身長150cmでも正確ショットで全英制覇! 山下美夢有の強みは「クラブが体の正面から外れない」ことだった【優勝者のスイング】
「AIG女子オープン」で、山下美夢有が海外メジャー初優勝。2019年の渋野日向子に続く全英制覇は、日本女子ゴルフ史上6人目となるメジャー覇者となった。そのスイングから学ぶべき点をプロコーチの南秀樹に聞いた。
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再現性が高く、ムラがない。どのポジションでも教科書通りの動きで、世界トップクラスのスイングだと感じさせる山下選手。そのショット力に的確なコースマネジメント、そして最終日の15番、16番が象徴するような好調なパッティングが加わり、メジャー勝者に相応しいゴルフを見せてくれました。
日本ツアーでも2年連続で年間女王(22、23年)となり強さを見せてきましたが、調子が落ちるとスイングプレーンがフラットに、ヨコ振りになってドローが強くなる傾向がありました。今季のスイングを見ると、若干ですが、プレーンがタテになっていると感じます。左右の体重移動を抑えつつ、軌道をアップライトに。ヨコ振りになりにくく、調子の波を小さくするメリットが考えられます。
クラブと肩の関係、距離感が変わらないのが抜群の安定感を生んでいるポイントです。下半身リードでクラブを下ろし、上半身を残そうとすれば、クラブと肩の関係は崩れやすいのですが、下半身でしっかりと体重を受け止め、動きもシンプルになっています。安定したインパクトを迎えられるので、ドローやフェードの打ち分けも容易にできるのではないでしょうか。
山下選手のように肩とクラブの関係性を変えないことは、インパクトを安定させるには大事な要素。フェースが開きにくくなってボールがつかまるので、スライスに悩む人には参考になる動きです。
ボールが散らばるゴルファーは、左肩とクラブヘッドまでの距離を変えない意識を持ってみてください。左腕の側面に板があるようなイメージで、肩とクラブを一緒に回していきます。最初は両足を揃え肩の回転だけで振り、多少引っかけるようなボールがでればOK。そのまま、下半身の動きを加えれば、ナチュラルなドローが打てるでしょう。
腕や手首の使い過ぎでフェースが開いていた人にとっては、振った感じがなく物足りなさがあるかもしれません。しかし、ヘッドが常に体の正面にあり、ボールがつかまってくるのでインパクトが厚くなります。違った部分で手応えが感じられ、飛んでいくボールにも満足できるでしょう。
■山下美夢有
やました・みゆう/2001年生まれ、大阪府出身。2022、23年と2年連続で年間女王を獲得。24年も2勝を挙げたものの、メルセデス・ランキングは竹田麗央に次いで2位だった。今季から米国女子ツアーに主戦場を移し、「AIG女子オープン」にて海外メジャー初優勝を挙げた。花王所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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