ウーバーイーツ配達員泣かせの"難攻不落"ショッピングモール【チャリンコ爆走配達日誌】
ウーバーイーツ配達員にとって攻略が難しい建物・巨大ショッピングモール
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第108回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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東京都内でウーバーイーツの配達をしていると、新宿駅や東京駅の近くに広がる巨大地下街やデパート、ファッションビル内の飲食店に商品を受け取りに行くのが大変というエピソードを以前「ウーバーイーツ配達員が苦労する、たどり着くのが大変な店」で書きました。
地下街は巨大すぎるのと、GPSが正確な場所を示さなくなることがあり、店の位置を知らないと時間のロスが大きいこと、またデパートやファッションビルは入館方法が面倒なところがあることを愚痴りました。
これらの面倒を回避したければ、都心部から少し離れた住宅の多いエリアで配達すればいいのではと考える方もいると思います。しかし、住宅の多いエリアには地下街やファッションビル以上に手ごわい相手がいます。それが巨大ショッピングモールです。
まさに「巨大」という言葉にふさわしい場所。中にはそれすら過小な表現ではと思えるほどの、あえて表現するなら「果てしない大きさ」とでもいうべきモールもあります。2階建てもしくは3階建てが多く、地下にショッピングエリアがないことがほとんどなので上下の移動は楽ですが、平面の移動が大変です。
「レストラン街やフードコートの位置を建物の入口にあるフロアマップで確認しておけば目的の店までスムーズに行けるだろ」とお思いの方もいるでしょう。確かにショッピングされる方と同様、店内を自由に移動することができるショッピングモールは店までスムーズに移動することができます。
ですが、巨大なリュックを持って移動するウーバーイーツ配達の性質上、建物の入口から店まで自由に移動できる店は少数派。多くのところでは建物から店までの動線が定められており、配達員用アプリに店までの行き方がテキストで指示されています。
そこにはこんな感じの言葉がつづられています。
「従業員用入口から入り、防災センターで入館手続きをし、バックヤードの階段を使って目的のフロアへ。各フロアの従業員用出入口を使って店内に出て店まで向かってください」
買い物をする人の邪魔にならないよう、スタッフ用の通路を使うのは理解できますが、この従業員用出入口を見つけるのが難関です。
毎日利用される従業員の方と違って、ウーバーイーツはいろんな店に料理を取りに行く特殊な仕事のため、従業員用出入口を見つけるのが大変です。建物の周りには店を利用する方のためのフロアマップやフロアガイドはありますが、そこに従業員用出入口や防災センターの場所が記されていないパターンがほとんど。
もちろんトイレやエレベーターなどを案内する標識にも「↑従業員用出入口」なんてものはありません。そのため、全長数百メートルあるモールの長〜い建物の周りを自転車でウロウロすることになります。
入館手続きをして目的のフロアまで行っても、フロアの従業員用出入口が店の近くにあるとは限りません。出入口を出てから店まで100m以上歩くこともザラにあります。
以前、この連載で名古屋、広島、札幌のショッピングモール案件を受けたことを書きましたが、中でも広島のとあるモールは複雑で、指定された置き場に自転車を停めて商品を受け取るまでに20分以上かかりました。
地元の慣れている方であればスムーズでしょうが、そのモールはバイクや自転車置き場と従業員用出入口がそこそこ離れていたので、慣れている方でも10分から15分はかかると感じました。また、自動車で配達される方の場合、従業員用出入口に近い駐車場が埋まっている場合もあるので、停める場所によっては大変な思いをするかと思います。
そんな、地下街同様、店の位置を覚えていないと延々と歩かされるリスクと、ファッションビルのような入館方法の煩雑さを兼ね備えた巨大ショッピングモールは、配達員にとって攻略が難しい、難攻不落の建物と言えるでしょう。
ちなみに最近は、都内でも湾岸エリアに巨大なショッピングモールが誕生しており、地下1階、1階、3階と同じモールにスターバックスが3店入っているところもあるので、モール内にあるチェーン店からの依頼は注意書きや店名を何度も確認するようにしています。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
記事提供元:週プレNEWS
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