ゲットしないと収入的に厳しい手当。ウーバーイーツ配達の「クエスト」の変遷【チャリンコ爆走配達日誌】
これまでにウーバーイーツ配達で登場したクエストの変遷を紹介します
連載【ギグワーカーライター兼ウーバーイーツ組合委員長のチャリンコ爆走配達日誌】第107回
ウーバーイーツの日本上陸直後から配達員としても活動するライター・渡辺雅史が、チャリンコを漕ぎまくって足で稼いだ、配達にまつわるリアルな体験談を綴ります!
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ウーバーイーツ配達員の収入は配達によって得られる基本給と、定められた期間内に規定の回数を達成すると得られる手当の2種類があります。いわゆる基本給は配達料、手当はクエストと呼ばれますが、今回はクエストについて紹介します。
現在のクエストは大きく分けて3種類あります。
ひとつ目は長期クエスト。現在は月曜日の午前4時から金曜日の午前4時までの96時間の間に、所定の配達回数を達成したらもらえる平日クエストと、金曜日の午前4時から月曜日の午前4時までの72時間の間に、所定の配達回数を達成したらもらえる週末クエストがあります。
平日の長期クエスト
私は最近あまり配達をしておらず、平日クエストの手当はこのような感じで、5回配達で375円、15回配達で1200円、25回配達で2125円、35回配達で3150円の手当をもらうことができます。
もらえる手当の額や達成配達回数は、直近の配達回数をもとに運営側が決めるようで、週に100回以上配達をされるような方には70回配達で5950円、85回配達で7650円、100回配達で9500円のような平日クエストが舞い込みます。
ふたつ目は気象条件によって出される短期クエスト。配達員の間では「雨クエスト」と呼ばれ、雨が降っている日や気温が35度を超える日など、気象条件が厳しい日の昼食や夕食の時間帯に出るクエストです。長期クエストと違い、1回の配達ごとに手当が出るのが特徴です。
短期クエスト
3つ目は実験的なクエスト。どんなタイミングで出現するのかわからないクエストで、金額や配達回数の法則性もまったくありません。お正月の三が日や、お盆休みなどに出ることがあるほか、今年1月に「ウーバーの商品到着時間が遅すぎる!」とSNSで話題になったタイミングで出たこともあったので、おそらく配達員が不足しているタイミングで突発的に出すものと思われます。
今は所定回数クリアで手当がもらえるクエストが主流ですが、過去にはこのようなものもありました。
配達料の倍率が示されたブースト
まずはブーストと呼ばれる手当。地図上の色が塗られたエリアにある店から商品を配達すると配達料が増えるというもので、「×1.5」なら1.5倍の収入が得られます。
新宿や渋谷では「×2.0」がよく出ていましたが、この手当が出るようになってから1年ほどすると、これまで距離や時間で計算されていた配達基本料が、運営側が独自に出す算出方式非公表のものに代わり、「×1.5」のエリアで運んだ場合、配達基本料200円、ブースト(×1.5)100円の計300円。「ブーストなし」のエリアで運んだ場合、配達基本料300円、ブースト0円の計300円というケースが続出し、この手当は消滅しました。
配達料の上乗せ金額が示されたブースト
ブーストの次に出てきたのは地図上に「+¥100」といった表示が出る手当。こちらも新宿や渋谷など、注文が多くなるエリアでよく出ました。また、最高気温が37度を記録するような日には「+¥400」も地図上に現れました。ですが、「+¥200」「+¥150」と記されたあたりの店だと額面通りの手当がもらえるのですが、そこから離れると手当が減額されるのと、その減額の方式がどのようになっているのか公表されなかったため、この手当は現在の雨クエストや実験的なクエストへと移行されました。
選択制の長期クエスト1
選択制の長期クエスト2
2020年頃にほんの少しの期間だけあったのが選択制の長期クエスト。現在ある平日クエストや週末クエストと基本同じものですが、達成回数を自分で自由に選べます。本業の忙しい週とヒマな週がハッキリしている私にとってはありがたいシステムでしたが、半年ぐらいでなくなってしまいました。
今後、どのような手当が現れるかはわかりませんが、現在のウーバーイーツ配達員に支払われる報酬は、平日クエストや週末クエストなどの長期クエスト(配達回数70回以上のもの)を達成してようやくアルバイトと同じかそれより少し稼げる程度。クエスト達成のためには1日5、6時間は配達しなければなりません。
副業でそれだけの時間、配達するのは厳しいので、クエストの手当を下げて、基本の配達料を上げていただけるとありがたいと個人的には感じています。
文/渡辺雅史 イラスト/土屋俊明
記事提供元:週プレNEWS
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