球筋変更で5年ぶりVの永峰咲希 インパクトで体が開いてもスライスしないのはなぜ?【優勝者のスイング】
「資生堂・JAL レディスオープン」で永峰咲希が5年ぶりのツアー3勝目を挙げた。1995年生まれの30歳で、ベテランの域に入るが、長年ツアーで活躍するスイングにはどんな特徴があるのか。プロコーチの南秀樹が分析する。
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昨年から持ち球をフェードに変え、ドライバーの安定感が増したという永峰プロ。もともと飛距離が出るショットメーカーなので、安定感が増したことでマネジメントしやすくなったのは容易に想像がつきます。
スイングはアップライトにバックスイングを上げていき、切り返しからはオンプレーンに下りてきます。特にダウンスイングでは、後方から見てシャフトが右肩をなぞるフェードヒッターらしい軌道を描いています。インパクトでは無理に胸の面を残すことなく、上半身をターン。インパクトで肩のラインが開いているのもフェードヒッターらしい動きです。
体が開いているのに、ボールをつかまえられるのはダウンスイングでヒザの高さが変わらないから。ヒザの高さを変えずに沈み込んだまま回転していくので、手元が浮かずフェースも開かないのです。反対に、無理に胸の面を残そうとすれば手の通り道がなくなり、手元が浮いてフェースも開いてしまいます。
始動ではフォワードプレスを入れてクラブをタテに上げるような動きが見られますが、ボールを打つ前のワッグルはフォロー側にヘッドを低く動かしています。体の旋回重視で打つタイプなので、クラブを上から入れずに、ボールを運ぶようなイメージを作っているのだと思います。
5年ぶりの優勝を遂げた永峰プロは、ツアーの第一線で長く活躍する一人です。そのためには安定したスイングが欠かせませんが、月イチゴルファーでも安定感を高める方法があります。それは自分なりのスイングを作ること。自分なりのアドレス、リズム、タイミング、基礎的な部分を固めることで、調子が落ちた時に戻る場所ができ、短い時間で復調できるというわけです。その基礎を作るのが、練習ドリルです。
例えばスライサーなら、右を向いてスタンス通りに振って外からクラブが入らないようにしたり、反対にクラブが下から入るならスプリットハンドでクラブと体の位置関係を変えずに打ったり、多くのプロが取り入れている片手打ちも基礎を作るには良いドリルです。「地味でつまらない」、「ボール代がもったいない」と敬遠しがちな練習ですが、その効果はとても高いのです。
■永峰咲希
ながみね・さき/1995年生まれ、宮崎県出身。14年にプロテストに一発合格し、18年の「フジサンケイレディス」で初優勝。20年の「日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯」ではメジャー初優勝を挙げている。ニトリ所属。
■解説:南秀樹
プロゴルファーである父の影響でゴルフを始め、高校卒業後にティーチングプロ資格を取得。クラブを使うことを主とする指導法が高い評価を得ている。幼少期から鈴木愛を指導するなど、ツアーで活躍する数多くのプロをサポートしている。(株)ボディスプラウト所属。
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