セバスチャン・スタン 特殊メイクでニューヨークを歩き役作り 映画「顔を捨てた男」
2025年7月11日より劇場公開される、第74回ベルリン国際映画祭でセバスチャン・スタンが最優秀主演俳優賞(銀熊賞)を受賞した映画「顔を捨てた男」から、新しい顔を手に入れたエドワード(セバスチャン・スタン)が夜の街に繰り出すシーンの、本編映像が公開された。
実感がないのか、喜ぶどころか鏡に映った自分を見て戸惑いの表情を浮かべているようにも見えるエドワード。その後、以前も訪れたことがあるバーに入るが、以前とは顔が違うエドワードに気づく人はもちろんいない。カウンターでウイスキーを注文し、店員から「氷は?」と聞かれると「薬効を薄めたくない」と、治療薬により変わった自分が元の自分に戻らないか不安げな様子を見せる。そんなエドワードが、ウイスキーをあおり、静かに高揚していく様子が収められている。
エドワードを演じたセバスチャン・スタンは、脚本を読んで「ここ5年ほど、私は挑戦的に感じられる作品、つまり変革の要素がある作品に惹かれてきた。肉体的な変化だけでなく感情的なレベルでも、この作品は非常に新しい領域だった」と語っている。複雑な役であるエドワードを演じるため、同じ症状をもつ当事者への取材も敢行。さらには、撮影の合間には演技を掘り下げるため、特殊メイクをした状態でニューヨークの街を歩き、地元のコーヒーショップにも入って周囲の状況を観察したという。ほとんどの客が自分と目を合わせなかったことを振り返り、「彼の病状についてできる限り理解しなければならないという大きな責任を感じた。見知らぬ人々の反応を吸収できたのは重要な体験だった」と明かしている。
「顔を捨てた男」の主人公は、顔に極端な変形を持つ、俳優志望のエドワード。自分の気持ちを閉じ込めて生きる彼は、ある日、外見を劇的に変える過激な治療を受け、念願の新しい顔を手に入れる。別人として順風満帆な人生を歩み出した矢先、目の前に現れたのは、かつての自分の”顔”にそっくりな男オズワルドだった。その出会いによって、彼の運命は想像もつかない方向へと逆転していく。ルッキズム(外見至上主義)を、ブラックなユーモアを効かせながら痛烈に風刺した作品となっている。
製作はA24で、アーロン・シンバーグ監督がメガホンをとった。製作総指揮としても参加しているセバスチャン・スタンは、アカデミー賞にもノミネートされた特殊メイクを施し、容姿が変わっていく主人公エドワードの複雑な心情を体現。ベルリン国際映画祭、ゴールデングローブ賞で主演俳優賞を獲得した。共演には「わたしは最悪。」のレナーテ・レインスヴェ、「アンダー・ザ・スキン 種の捕食」のアダム・ピアソンらが顔をそろえる。


【作品情報】
顔を捨てた男
2025年7月11日(金)ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
配給:ハピネットファントム・スタジオ
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記事提供元:映画スクエア
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