サントリーがジンのシェア拡大へ向け大阪工場の生産能力を倍増 ブランド体験拠点として東京・高輪には茶室BAR「ROKKAN」を開業

蒸留酒ジンの人気が高まっている。国内ジン市場で約7割のシェアを持つサントリーによると、ジンのグローバル市場はこの10年で約2倍と大きく飛躍し、国内市場は2019年の71億円から2024年には約3.5倍の251億円(同)へと大きく成長した。同社は、2030年の市場規模を450億円に拡大させる目標を掲げている。
▽総額65億円を投資し「つくる」と「伝える」を強化
サントリーは6月26日、同社大阪工場で、6月より本格稼働した原料酒の浸漬やジンなどの蒸留を行う製造施設「スピリッツ・リキュール工房」を報道陣に公開した。創業以来、「洋酒文化の創造・発展」に挑戦する同社が、1936年から取り組んできたのが国産のジンづくりだ。昨年から55億円の設備投資を行い、大阪工場のジン原酒の生産能力を2倍に強化。さらに国産ジンの魅力発信にも力を入れ、10億円を投じて一般向けの施設見学ツアーを来春から始める予定だ。総額65億円を大阪工場に投資して「つくる」と「伝える」を強化し、ジン市場の創造・拡大を目指すという。
ジンを「つくる」拠点となる新たな施設「スピリッツ・リキュール工房」では、原料となるボタニカル(風味や香りづけに使用する植物素材)を酒に漬ける浸漬(しんせき)タンク8基を新設。さらに蒸留器4基を更新し、蒸留釜と浸漬タンクを分けることで従来1日1回だった蒸留プロセスを2回に増やすことが可能になり、生産能力と品質の向上を実現した。加えて、同工房内に開発担当部署のラボ&小規模蒸留施設を新設し、開発と生産の連携を高めることで、「美味品質」のさらなる向上が図られている。
スピリッツ・リキュール工房の“ものづくり”の特長は「多彩な厳選素材」と「熟練のブレンド技術」。それらの魅力を「伝える」ために2026年春から予定されているのが一般向けの見学ツアーだ。今回はその一部として、テーブルや360度スクリーンに没入感のある映像を投影して生産工程などの映像を鑑賞できるクリエイションルームが公開された。
国内ジン市場の7割を占めるサントリーのジンの主力は2つのブランド。買い求めやすい価格帯の「翠(SUI)」と高価格帯のジャパニーズクラフトジン「ROKU〈六〉」だ。ソーダで割って居酒屋や家庭での食事とともに楽しむスタイルを訴求する「翠(SUI)」は、ジンソーダ缶も発売されており、なじみがあるという人も多いかもしれない。一方、「ROKU〈六〉」は世界60カ国で発売されており、海外販売比率が約9割。販売数量が世界第2位(平均売価30米ドル以上銘柄)のプレミアムジンだ。「ROKU〈六〉」は伝統的な8種のボタニカルのほかに、日本ならではの6種のボタニカル(桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子)を使用。複雑で繊細な香味を実現している。限定品の「ROKU〈六〉 OSAKA BRILLIANCE EDITION」がThe World Gin Awards 2025のClassic Gin部門でCountry Winnerを受賞するなど、海外での評価も高い。
▽ブランド初のコンセプトショップ
サントリーは6月18日、「ROKU〈六〉」の高い品質とおいしさを体感してもらうために、初のコンセプトショップ「茶室BAR ROKKAN by ROKU GIN」(以下、「ROKKAN」)を、グランドプリンスホテル高輪にオープンした。2025年の街開きで注目が集まる東京・高輪エリアで、2026年6月30日まで、約1年間にわたって上質なブランド体験拠点として営業する予定だ。
茶室BAR「ROKKAN」のコンセプトは、五感と心の“六感(ROKKAN)”で四季を楽しむ大人の茶会。日本の四季が生んだ和素材を使用した「ROKU〈六〉」を、日本で古くから四季とともに親しまれてきた茶室のような空間で楽しむことができるという趣向だ。
「ROKKAN」は、事前予約制の「ジャパニーズクラフトジンROKU〈六〉体験コース」と、事前予約不要でROKU〈六〉を使用したアラカルトメニューを楽しめる「Bar Time」の二部制で営業。ジンの奥深さ、そして和素材を“旬”の時期に収穫し、鮮度を保ったまま浸漬・蒸留している「ROKU〈六〉」のこだわりが体感できる。
原料であるボタニカルに触れる体験や、「ROKU〈六〉」を使用した四季のカクテルと和菓子のフードペアリング、「ROKU〈六〉」限定品を使ったメニューなど、コンセプトショップならではの魅力的なコンテンツが「ROKKAN」には用意されている。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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