中東ジャーナリストの川上泰徳が捉えた“10.7の後”「壁の外側と内側」
2023年10月7日、イスラム組織ハマスがガザ地区からイスラエルを奇襲し、すぐさまイスラエル軍が報復に出る。多くの死者が出て緊張が続く中、翌年7月に中東ジャーナリストの川上泰徳はヨルダン川西岸地区に入る──。川上が初監督を務め、現地の様子をカメラに収めたドキュメンタリー「壁の外側と内側」が、8月30日(土)より渋谷ユーロスペースほか全国で順次公開。メインビジュアルと予告編が到着した。
川上はベツレヘムからヘブロン、そしてオスカー作品「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」でも舞台となったマサーフェル・ヤッタへと巡り、イスラエル軍の攻撃やユダヤ人入植者の暴力を目の当たりにする。一方のイスラエル側では、国民の多くが《壁》の外側の惨状に目を向けない中、兵役を拒否する三人の若者がいた──。《壁》の内外のリアルを捉え、改めて戦争の背景を浮き彫りにする重要作。
川上泰徳監督メッセージ
ハマスによる越境攻撃と、その後のイスラエルによるガザの破壊と大量殺戮。30年、ジャーナリストとして中東を見てきた私にとっても異常な事態でした。何が起こっているのかを知るために、パレスチナとイスラエルを一か月かけて歩きました。ガザは封鎖され、入ることは出来ませんでしたが、イスラエルが建設している「壁(分離壁)の外側」のヨルダン川西岸のパレスチナでは、人々の生活を破壊し、排除するイスラエル軍の占領の実態を見て、人々の訴えを聞きました。一方で、イスラエル国民は自分たちの軍隊による壁の向こうでの加害を知らない、という「壁の内側」の実態も。メモ帳を携帯カメラに持ち替えて、取材のすべて記録し、私が出会った光景、出会った人々、予想もしない展開、そして見えてきたことを、皆さんにも体験していただき、共に考えたいと思って初めての映画をつくりました。
https://www.youtube.com/watch?v=k8N8PFQBmFw
「壁の外側と内側」
監督・撮影・編集・製作:川上泰徳
編集協力:大重裕二
整音:小川武
製作協力・配給:きろくびと
2025年/日本/カラー/104分
©Kawakami Yasunori
公式サイト:https://out-in-thewall.com
記事提供元:キネマ旬報WEB
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