【コロンビアから来た「ちはやふる」少女】憧れのニッポンで畳の上の格闘技に挑む!:世界!ニッポン行きたい人応援団
今回は、コロンビア人の初来日の様子をお送りします。
【動画】「世界!ニッポン行きたい人応援団」最新回
競技かるたへの情熱、コロンビアから日本へ
紹介するのは、南米コロンビア在住の「競技かるた」を愛するマリアさん。

小倉百人一首を使い、短歌の上の句が読まれた瞬間に下の句の札を取り合う「競技かるた」。自分の持ち札25枚が先にゼロになった方が勝ちとなります。100分の1秒を争う対戦は「畳の上の格闘技」とも呼ばれ、競技人口は100万人超!
マリアさんが競技かるたに夢中になったきっかけは、14歳の時に観たアニメ「ちはやふる」。原作は、高校の競技かるた部を舞台にした末次由紀さんの漫画。映画化もされた大ヒット作です。
「ちはやふる」に出会い、百人一首を覚えるため日本語を猛勉強したマリアさん。日本語スピーチコンテストでも「かるたと私」というテーマで優勝。友人がこの時の動画を末次さんのSNSに送ると、ご本人から「とてもすてきでした」とメッセージが! 「あの時から、もっとかるたを頑張ろうと思ったんです」(マリアさん)。

普段は、百人一首を読み上げるアプリを使って、札を取る練習をしています。
日本文化センターにあるコロンビア唯一のかるた部にも所属し、部員の皆さんと対戦。課題は、札に手を出すスピードが遅いことだそう。
経済的なゆとりがなく、ニッポンへは一度も行ったことがないマリアさん。いつか、コロンビア代表としてニッポンの大会に出るのが夢で、「ニッポンに行って、かるたにゆかりがある場所をいっぱい巡り、技術を学んで強くなりたい」と願っています。
そんなマリアさんを、ニッポンにご招待! 今年3月に初来日しました。
向かったのは、東京・江戸川区の関東第一高等学校。競技かるた部の皆さんが、快く受け入れてくださいました。
競技かるた部は、創部から11年。「かるたの甲子園」とも呼ばれる全国高等学校選手権大会で全国398校の頂点に立ち、団体戦2連覇。競技かるたの高校日本一です。
早速、マリアさんも練習に参加しますが、札を取るのが遅く、早々に完敗。修正すべき点は「構え」と「払い」だそう。
構える時は、利き手を体の中心に置き、卵を持つように軽く握ります。そして、素早く前傾姿勢がとれるよう、拳2つ分ほどひざ頭を開くのが「構え」の基本。

次に「払い」。マリアさんは肘を曲げ、弧を描いて取りにいきますが、これが距離にロスを生む原因に。札まで最短距離で腕を伸ばすのがポイントです。
早速、ランダムに上の句を読んでいただき、下の句を見つけたら構えて払う練習を。繰り返すことで、構えと払いの基本は頭に入ったようです。
次は、対戦形式で基本を反復。ここで、“決まり字”を覚えるという課題が。
決まり字とは、下の句が決まる上の句のフレーズ。例えば、上の句の二文字目で下の句が確定する“二字決まり”は、二文字目が読まれた瞬間に札を取ることができます。つまり、決まり字と下の句をリンクさせて覚えれば、速く札が取れるのです。
そこで、決まり字を書いた練習札を使って対戦。これまでより、少し速く手を出せるようになりました。
「知らなかったことだらけで、まだ戸惑っています」と話すマリアさんですが、ここで顧問の三原直也先生から大会出場のお誘いが。入賞すると段位がもらえるそうで、猛練習することに!
お昼休憩を挟み、午後の練習は「札流し」。決まり字を言い当てながら、取り札を素早く切っていきます。二段のレベルで、50枚切るのに30秒ほど。

マリアさんも、苦手な札を30枚使って挑戦。初回は1分半かかりましたが、1時間半の練習で、35秒というところまで到達しました。
練習後は、学校近くのお店で焼肉パーティー。大会で優勝した時はみんなで焼肉を食べるそうで、「マリアさんもこれから大会に臨むので、みんな同じ気持ちでいけたら」と三原先生。験担ぎの焼肉を堪能し、楽しい時間を過ごしました。
2日目は、憧れの人と対面するサプライズが! 昨年夏、全国高等学校選手権大会の団体・個人で2連覇、競技かるたの女性日本一・クイーン位にまで上り詰めた矢島聖蘭さんです。
マリアさんの練習を見た矢島さんは「もっと恐れず突っ込むような勢いで」とアドバイスを。さらに、払いの指導もしてくださいました。最短距離で取るためには、札に近い指を使い分けて払うそう。矢島さんは速くて正確な払いを身につけるため、ひたすら「払い練」をしたとか。

払い練とは、狙った札を払っては置く動きを50枚繰り返す練習。実際に見せていただいたマリアさんは「レベルが雲の上です」と驚き。一番遠い場所でも札に指が到達するまで0.25秒ほど。このスピードがなければ、トップレベルの勝負には勝てないのです。
「教えてもらったことを忘れずに頑張ります」と意気込むマリアさんを、矢島さんは「応援しています」と激励してくださいました。
午後になると、またもや助っ人が。高校日本一の小西美彩子さんです。全国高等学校選手権大会では、個人戦で矢島さんと別のブロックで優勝し、ともに高校日本一に。そんな小西さんが、マリアさんの課題である決まり字の攻略法を教えてくださいました。
上の句の一文字目が他とダブらない“一字決まり”7首は、迷いなく取りにいける札。その中の「む」と「せ」の札を使い、速く払う特訓を行います。瞬時に聞き分けて取るのは難しく、集中して正確に払わないと空振りに。

休憩したら、紛らわしい決まり字を覚える練習。「た」から始まる6首は、全て二字決まり。「た」の次に何が読まれるかで下の句が確定します。同様に他の決まり字も練習し、100首全てをクリアすることができました。
3日目。大会前最後の練習は、終日総当たりで試合さながらの真剣勝負。同じ大会に出る2年生の芝塚さんとの試合では、果敢に札を取りにいき、負けはしたものの善戦! 目標は、大会での1勝です。「一つでも勝つことが、皆さんへの恩返し」とマリアさん。果たして、目標を達成できるのでしょうか。
実はマリアさん、滋賀県大津市にある“かるたの聖地”近江神宮も訪れていました。百人一首の一番札を詠んだ天智天皇を祀っていることが聖地の由来。大会で1勝できるよう、お参りをしました。

境内にある近江勧学館は、かるたの日本一を決める大会の会場。クイーン位戦の正装である袴を着させていただき感動! ご厚意で試合の擬似体験もさせていただきました。
さらに、京都・伏見では、全日本かるた協会公認の競技用百人一首かるたを製造する「大石天狗堂」へ。お土産に競技用かるたをいただきました。
夢への一歩、そして新たな決意
そして迎えた大会の日。第4回「滝野川もみじ杯」(E級)は、段位を持たないE級の競技者64名が出場。4ブロックのトーナメントを行い、4勝で優勝。3位までが入賞となります。
競技かるたは、自陣と敵陣に25枚ずつ配置して札を取り合います。自陣の札を取れば1枚持ち札が減り、敵陣の札を取った場合は自分の札を1枚相手に送ることで持ち札が1枚減ります。こうして、先に持ち札がゼロになった方が勝利。
一回戦の相手は、競技かるた部所属の中学2年生。マリアさんは緊張しながらも、少しずつ速い「払い」が! 小西さんと特訓した一字決まりの札を取る場面もあり、念願の1勝を上げることができました。「皆さんの指導のおかげです」とマリアさん。
昼食を取り、緊張が少しほぐれたところで二回戦へ。相手は強豪中学の3年生。序盤から札を取られ続け、応戦したものの敗退。残念ながら入賞は叶いませんでした。
ところが、表彰式でマリアさんの名前が。かるたで国際交流に貢献したことが評価され、特別賞が贈られたのです。マリアさんは「国へ戻っても、もっともっとかるたの練習に励みます」と挨拶をしました。
「滝野川かるた会」関係者の皆さん、本当にありがとうございました!
学校へ戻り、結果を報告。マリアさんの1勝に拍手が送られる中、番組スタッフからサプライズが。マリアさんの来日を末次さんに伝えたところ、激励のお手紙をくださったのです。
末次由紀さん、本当にありがとうございました!
そして別れの時。マリアさんは「かるたを愛する皆さんに出会えたことはとても幸せです。皆さんが夢を叶え、幸運に恵まれることを祈っています」と伝えます。
寄せ書きをいただき「人生で最高に幸せな日です」と感動するマリアさん。皆さんとの再会を約束しました。
関東第一高校競技かるた部の皆さん、本当にありがとうございました!
様々な体験をしたニッポン滞在。最後にマリアさんは「いつかコロンビアの代表選手としてニッポンに戻ってきたいと思います。思いはただひとつ、『頑張ります!』」と語りました。
マリアさん、またの来日をお待ちしています!
月曜夜8時54分から、「世界!ニッポン行きたい人応援団」を放送!
●“焼き鳥”を愛するイギリス人のバツラフさんとアイザックくん親子をご招待!
●名店の技を受け継ぐ都内の人気焼き鳥店「やきとり右羽。」で、鶏の旨みを最大限に引
き出す焼きの技術を学ぶ。
●和歌山で100年以上続く紀州備長炭の製炭所を訪れ、150℃を超える窯出し作業を体験。
しかし、帰国前日にまさかの事態が…。
記事提供元:テレ東プラス
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。