清水美砂 豪雨で被害を受けた老舗旅館の営業再開を目指す女将役 「囁きの河」インタビュー

2025年6月27日より熊本県にて先行公開、7月11日より全国順次公開される、2020年7月に起こった熊本豪雨により、球磨川が氾濫し壊滅的な被害を受けた人吉球磨地域を舞台とした映画「囁きの河」から、老舗旅館の営業再開を目指す女将(おかみ)役を務める清水美砂のオフィシャルインタビュー(一部)が公開された。
インタビューで清水美砂は、「温泉旅館は温泉が命なんですよね。どんなに建物を新しくしても、温泉が出なかったら営業はできない。水害後に温泉が出たときの喜びは涙ものだったという話を聞いて、映画のシーンとしては短いエピソードですけど大事に撮りたいなと思いました」と、撮影時の思いを明かしている。また、「どこか似ている夫婦関係でありたいなと思ったんです。そういうセリフじゃないところのやり取りを、三浦(浩一)さんとは表現できたかなと思います」と、夫役の三浦浩一との共演について語っている。
「囁きの河」は、変わり果てた故郷に戻った男の物語。熊本を襲った豪雨から3カ月、母の訃報を受けた孝之(中原丈雄)は22年ぶりに帰郷するが、仮設住宅で暮らす息子の文則(渡辺裕太)は、かつて自分を捨てた父に心を開こうとしない。幼なじみの宏一(三浦浩一)が営む旅館もまた半壊の痛手を負っていた。女将(おかみ)の雪子(清水美砂)が再建を願う一方、父を土砂で亡くした宏一は前を向けず、災害は夫婦の間にも亀裂を生んでいた。その頃、球磨川くだりの再開を信じて船頭を志す文則は、かつての同級生・樹里(篠崎彩奈)と再会。隣人の直彦(不破万作)と妻のさとみ(宮崎美子)は仮設から自宅に戻ることを決め、孝之も水害で荒れた田畑の開墾に希望を見いだしていく。
2004年から熊本県のグリーン・ツーリズムに尽力してきた青木辰司(東洋大学名誉教授)がエグゼクティブ・プロデューサーを、連続テレビ小説「おしん」の大木一史が監督をつ務めている。いまだ災害の爪あとが残る現地での取材を重ねながら復興の歩みを見つめ、その土地で生きる人々の希望と再生を自然の力とあわせて描いた。 主人公の孝之を演じたのは、熊本県人吉市出身のた中原丈雄。地元の老舗旅館の営業再開を目指す女将に清水美砂、その夫に三浦浩一、孝之の息子に渡辺裕太、文則の元同級生に元AKB48の篠崎彩奈、孝之の隣人である夫婦を不破万作と宮崎美子が演じている。
【清水美砂インタビュー】
--2020年の熊本豪雨による水害をどのように受けとめていましたか?
清水:当時は私、日本にいなかったんですね。ニュースでは見ましたけども、実状はよくわからなかったんです。私自身は熊本の生まれでもなく、大きな災害を経験したこともありません。ただ、演じるとなれば、どこかで生身の自分が入り込んでいかないといけない。劇中で宏一が「あん雨は、経験したもんじゃなかとわからん」と言いますけど、まさしくそうだと思うんですね。その葛藤はありましたけど、昔から私のことを知ってくださっている大木監督と中原さんを信じてやってみようと思いました。
--序盤で雪子と宏一が倒壊した旅館に戻るシーンがありました。
清水:心が痛みました。現地に行くと、川沿いの建物やお店が廃墟になったままたたずんでいて、ものすごい静寂なんです。人間が住まなくなると本当に生気がなくなるんだなと。以前はそこに人々が集まって、笑い声もあったわけですよね。くま川鉄道の一部区間は今も運休中で、その先にある集落に住む子どもたちは他の町の学校まで通っている。今後の防災のために町自体が遊水池に指定されてしまった地域もある。復興はこんなにも難しいのかと、何とも言えない気持ちになりました。
--雪子のモデルは人吉に実在する老舗旅館の女将さんだそうですね。
清水:撮影中はそこで寝泊まりもさせてもらって大変お世話になりました。温泉旅館は温泉が命なんですよね。どんなに建物を新しくしても、温泉が出なかったら営業はできない。水害後に温泉が出たときの喜びは涙ものだったという話を聞いて、映画のシーンとしては短いエピソードですけど大事に撮りたいなと思いました。
--豪雨の被害は宏一との夫婦関係にも及んでいます。
清水:宏一はあまりにも辛い思いをしているから、三浦さんと役について話し合うことはほとんどしませんでした。それよりも、どこか似ている夫婦関係でありたいなと思ったんです。そういうセリフじゃないところのやり取りを、三浦さんとは表現できたかなと思います。
【作品情報】
囁きの河
2025年6月27日(金)~熊本県・熊本ピカデリーにて先行公開
7月11日(金)池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開
配給:渋谷プロダクション
©Misty Film
記事提供元:映画スクエア
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。