岡山絵里は雨ニモ風ニモ負ケズ「71」 2打差2位から4年ぶりVへ
<宮里藍 サントリーレディス 3日目◇14日◇六甲国際ゴルフ倶楽部(兵庫県)◇6558ヤード・パー72>
雨を運ぶ強い南風が、後半からさらに勢いを増した。多くの選手が伸び悩む中、今月4日に29歳となった岡山絵里が粘りのゴルフを見せた。4バーディ・3ボギーの「71」でトータル12アンダー・2位タイ。首位は高橋彩華に譲ったが、気力は充実している。
「本当に風が強くて難しかった。でも、(予選ラウンドの)2日間をノーボギーで回ったのはすごく良かったし、自信にもつながりました」
3番でボギーが先行したが、4番ですぐにバウンスバックのバーディを奪った。後半17番パー5ではティショットをバンカーに入れたが、180ヤードから5番ユーティリティで放った3打目をピン横3メートルにつけてバーディ。スコアを1つ伸ばして首位と2打差に食らいついた。
3日目は悪天候にもかかわらず、2724人のギャラリーが訪れた。「ギャラリーが多くて楽しかった。そういうこと自体が久しぶりだったので」と、プロとして見られてなんぼの“承認欲求”も満たされた。
ここ数年は持病の腰痛に苦しんできた。2022年はメルセデス・ランキング(MR)64位に終わり、自身初のシード落ちを経験。状態が悪化した23年はMR135位にまで低迷した。股関節も痛めて日常生活に支障をきたすようになり、ゴルフを辞めることを真剣に考える時期もあった。
トレーニング方法を見直し、腰への負担を減らすために10キロの減量を敢行。その効果もあり、昨季は3シーズンぶりにシードへ復活した。さらに万全を期すため、昨年11月には患部の血流を改善するカテーテル手術を受けた。
それでも腰の状態は万全ではない。針治療は「ほぼ毎日やっています。痛くないことの方が少ないし、予防もある。次の日に持ち越さないようにやっています」。治療は毎日のルーティン。苦しみながらも笑顔でプレーを続ける姿は、事情を知る者の心を打つ。
21年「アクサレディス」以来となる通算3勝目を目指す最終日。「3日目はボギーが多かった。最終日はボギーを打ちたくない気持ちはあるけど、アグレッシブにピンを狙っていきたい」。昨年9月には下部のステップ・アップ・ツアーで、ルーキーイヤー以来となる9年ぶりの2勝目を挙げた。18番グリーンでの優勝インタビューでは「苦しいときを支えてくれた人に感謝したい」と号泣。あのときの感動を、今度はレギュラーツアーの舞台で味わいたい。(文・臼杵孝志)
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