小学生の自由研究が世界的大発見に まぼろしの動物が論文として発表されるまでを描いた一冊

自由研究? 子どもの夏休みの宿題でしょう? などと高をくくってはいけない。本気で打ち込むと、時には世界的な大発見につながることもある。小学生が貴重なニホンオオカミのはく製を発見、論文として発表するまでを児童書に描いた『まぼろしの動物 ニホンオオカミ 小学生、なぞのはくせいの正体を追う』(文:たけたにちほみ 監修:川田伸一郎 協力:小森日菜子 絵:坂口友佳子、Gakken、税込み1650円)が発売された。
100年以上も前に絶滅し、その詳細も明らかになっていないまぼろしの動物ニホンオオカミ。世界で6体目となるそのはく製を発見した小学生がいる。2020年当時小学4年生だった小森日菜子さんだ。つくばにある国立科学博物館の研究施設に、見学のイベントで訪れた際、ニホンオオカミと思われるはく製を発見。「頭の中のレーダーがピピッと反応した」という小森さんは、専門家の力も借りながら調査を開始。はく製がどこからどのようにしてやってきたのかを解明するため、とことん観察し膨大な資料を読み込んだ。
1年後、小森さんは調べたことを「ヤマイヌ~私が解明したい謎のニホンオオカミ~」として自由研究にまとめた。この自由研究は、第25回「図書館を使った調べる学習コンクール」(図書館振興財団主催)で文部科学大臣賞を受賞。その後、調査に協力した専門家の勧めもあり、学術論文としてまとめることを決意。綿密な検証を重ね、2024年2月、中学1年生の時に小森さんは専門家らと共に論文『国立科学博物館所蔵ヤマイヌ剥製標本はニホンオオカミCanis lupus hodophilaxか?』を発表した。
発売された児童書は、この研究過程を分かりやすくまとめた一冊。標本に残されたシールや大昔の記録など、わずかな手がかりから小森さんがその正体を探り続けていく様子は、ミステリー小説のようにドキドキしながら読めるし、自由研究の作り方や考え方についても学べる。小森さんの好きな絶滅動物や、今もニホンオオカミの生存を信じ捜索を続ける人たちの活動、ニホンオオカミ信仰の歴史などにも触れられている。

記事提供元:オーヴォ(OvO)
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