“渋野チルドレン”から刺激 全米で涙の7位も「くよくよしてる場合じゃない」
<全米女子オープン 最終日◇1日◇エリン・ヒルズGC(ウィスコンシン州)◇6829ヤード・パー72>
全米制覇を目指し、首位と2打差の3位からスタートした渋野日向子。最終日は、米ツアールーキー・竹田麗央とのペアリングで優勝争いを繰り広げた。
竹田は3日目のラウンド後、渋野についてこう語っていた。2019年「AIG女子オープン」(全英)で渋野がメジャー初制覇を果たしたとき、「テレビで見てすごくびっくりしましたし、すごいなと思った。今でも覚えています。私もそういう選手になれるように頑張りたいです」。
渋野が歴史的快挙を達成した当時、竹田はまだ高校1年生の16歳。そんな2人が、時代の流れとともに、今やメジャーの舞台で優勝争いを演じるまでになった。
渋野は「初めて一緒の組み合わせだった。この舞台で、この位置で一緒に回れるのは楽しみで、すごくうれしかった。すごくいい選手だから勉強したかったし、どっちかが勝ちたかった。お互い難しいラウンドだったと思いますけど、最後まで楽しく諦めずできた」。竹田とのラウンドをこう振り返り、率直な思いを語った。
渋野のメジャー制覇に刺激を受けた“渋野チルドレン”は、今では日本や世界の舞台で続々と頭角を現している。今大会に出場した岡山県出身の桑木志帆もその一人。「(渋野と)回れるように練習します!」と語り、米ツアーで肩を並べる未来を思い描いている。
桑木は決勝ラウンドに進出したものの、トータル12オーバーで56位タイ。「悔しいです」と一言だけ残し、重い足取りで会場を後にした。
そんな後輩に対して、渋野はこんな言葉を贈る。「ここに出られるということが、本当に素晴らしいことなので。みんなが出られるわけじゃないし、みんなが経験できる場所じゃない。自分だって、とんでもねえスコアで落ちたり、打ったとかよくある。メジャーではそうやってけちょんけちょんにされた記憶ばっかり」。米ツアー参戦4年目。数々の経験を積み重ねてきた渋野だからこそ語れる、リアルで温かいメッセージだ。
自身もこの日はスコアを伸ばせず、勝利には届かなかった。悔しさがこみ上げ、ラウンド後には涙を見せた。「やるしかないっす。『くよくよしている場合じゃない』と自分に言い聞かせています」。
かつて、自身が勇気を与えた“渋野チルドレン”の活躍が、今は渋野の新たな活力になっている。涙を力に変えて、渋野は再び前を向いた。(文・齊藤啓介)
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