勝負を分けたおはようバーディ 22歳・佐久間朱莉が歩く道「年間女王を目指す」
<ブリヂストンレディス 最終日◇25日◇中京ゴルフ倶楽部 石野コース(愛知県)◇6642ヤード・パー72>
初日から首位を走ってきた佐久間朱莉が「68」のラウンドで最後まで首位を譲らず、トータル20アンダーで今季2勝目を飾った。初優勝までに何度も苦い敗戦を味わったが、わずか1カ月で2勝目に到達。初優勝でつかんだ自信が「きょうにつながったと思います」とピンチにも動じることなく、実力を発揮した。
終わってみれば、勝負を分けるような大きな一打だった。スタートの1番パー4。佐久間のグリーン奥からのアプローチは、強めに飛び出した。「『強い、段を下っちゃう』と思ったけど、ピンに向かっていたので、入ってくれないかなって。2打得したと思ってラッキーだったんですけど、うれしいより恥ずかしかったです(笑)」。
4~5メートルはオーバーしそうな強いショットがピンに当たり、チップインバーディ。一方、首位に並んでスタートしたルーキーの荒木優奈は、このホールを3パットのボギーとし、いきなり2打差がついた。
この日は5ホールで前方のティグラウンドが使用され、本来より156ヤード短いコースセッティング。佐久間は「自分が伸ばさなきゃ負ける」と覚悟を決めて臨んだ。そんな中、4番パー3では完璧なショットで手前20センチにつけるなど、6番までに4バーディ。想定したさらなる伸ばし合いにしっかり対応した。
後半は「ダメなところがドドっと出ました」とややショットが乱れたが、ボギーは1つに抑えて2打差で逃げ切り。「自信が持てているので、ボギーを打っても焦らなくなりました」。14番では荒木に先にバーディパットを沈められたが、「人の結果を気にしなくなって、自分のストロークをすれば入ると信じられました」と、1メートル強の微妙な距離のパーパットをきっちり沈めた。
この優勝でメルセデス・ランキング、賞金ランキングともに首位に立った。「今まで口にしないようにしていたわけじゃないんですけど、この位置に来られたので、年間女王を目指したいです。5勝ぐらいできればと思うけど、それ以上にメジャーで勝ちたい」。今大会の優勝者は過去4シーズンで3人が女王となり、残る1人もメルセデス・ランキング2位。縁起のいい大会で、大きな勝利をつかんだ。
もし2勝目が1試合早ければ、世界ランキング75位以内の資格で来週の「全米女子オープン」に出られる見込みだった。「特にきょうは他の選手が『あすの飛行機が…』って話をしていて、うらやましいなと思っていたんですけど、もうしようがない」と潔く割り切る。
「今回勝ったことで『全英』への道が開けてきたので、次は全英や国内メジャーに照準を合わせたい」。新女王候補の筆頭に躍り出た22歳が、次なる目標に向かって走り始めた。(文・田中宏治)
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