出場できるよろこびを胸に「全米プロシニア」へ 50歳にして感じる“昔と今”の変化【藤田寛之の“人生付録記”】
昨年の「全米シニアオープン」で2位に入り、米シニア「PGAツアー・チャンピオンズ」のプレーオフシリーズに進出。2戦目で3位に入りポイントを上積みし、今季のフルシード権を得た藤田寛之。この第二の人生とも言える挑戦を『人生の付録』と表す。そんな米戦記を追っていく。(取材/構成・高木彩音)
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こんにちは、藤田寛之です。PGAチャンピオンズツアーの今季メジャー初戦を終えて、今週もメジャーの「全米プロシニア選手権」(5月22~25日)に出場します。今回は、そんなメジャーへの想いや、シニアになってから感じた気持ちの変化についてお話しいたします。
今週は月曜日に(会場があるメリーランド州に)移動して、火曜日はプロアマが行われるのですが、私は会場で練習に専念。水曜日に練習ラウンドを回る予定です。2週前のオープンウィークは、日本から取材に来てくれるところがあったり、練習もしましたが、完全なオフも2日間取ることもできました。午前中にトレーニングを行い、午後は家から出ないように、たまにみんなで買い物にも行きましたが、睡眠などで、体をしっかり休ませることを優先しましたね。
今回の会場(コングレッショナルCC)を回るのは、僕も出場し2011年にローリー・マキロイがメジャーで初めて優勝したときの「全米オープン」以来です。あまりコースの記憶もないので、水曜日の練習ラウンドでは実に14年ぶりに回ることになります。
■世界最高峰の“大舞台”に立つこと
いままでは、日本からスポットで行って『メジャーだ』という強い気持ちがありました。しかし、今年はこちら(米国)でずっと試合をやっていて、そのなかでの出場なので、心持ちは微妙に違います。日本からこっちのメジャーに来る時には“ビシッと切り替える”という感じですが、今は自然に入っていけるような。あくまでも“1つの試合”という意識です。
僕にとってメジャーというのは、『プロゴルファーが必ず一度は戦いたい試合』という認識です。歴史もありますし、勝つことによって“恩恵”みたいなのもある。そして何よりも歴代覇者として名前を刻まれることがとても大きい。 海外メジャーに対しては“憧れ”もあります。簡単に出場できる舞台ではないですから。
なので“優勝”というのは、かなり先の話。また今年もそこに行けるというよろこびが大きいです。そこでプレーして、もちろんいい成績を出すに越したことはありません。そこを目指して一打一打、気持ちを込めて打っていきます。その結果、どうなるんだろうな…。昔だったら、優勝を狙っていたでしょうね。
■シニアになって見えたもの
シニアになってから試合に対する気持ちの変化があります。それは『勝ちたい』ということへの欲についてです。なんていうのかな、レギュラーのときみたいに“バチバチ”に勝ちにいきたいということではなくて、自分の中では『楽しみたい』というのが大事。優勝など、いろいろ目標を掲げると苦しくなるんです。
レギュラー時代はそういう気持ちで戦ってきたからこそ、シニアになって、少しだけ“肩の荷”を下ろして、気楽にトーナメントに向き合いたい気持ちがあります。その一方で、一生懸命練習をしても体がもたないし、当時のようにストイックにやることはもう無理なんだと。自分自身にだいぶ甘くやっていますね(笑)。そういった気持ちの変化もありますが、私は私なりにこの“人生の付録”のような生活を楽しみながら、少しでもいい成績を目指し戦っています。
さて、先週からアメリカでは初の4連戦になります。体は少し悲鳴をあげるのではないかな…(笑)。ストレッチを入念に行ったり、練習の球数を減らしたり、軽めのメニューに切り替えて、私なりに頑張ろうと思いますので、みなさん応援のほどよろしくお願いいたします。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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