朝の新ルーティン? 石川遼が5~15フィートまで細かいタッチで打つ意味「ダメな理由をつぶしたい」
<日本プロゴルフ選手権 事前情報◇21日◇三甲ゴルフ倶楽部 谷汲コース(岐阜県)◇7337ヤード・パー72>
大会前日の朝。練習グリーンでは、ボールを2個同時に打つ石川遼の姿があった。それが終わると今度は、ボールから5フィート(約1.5メートル)地点と、15フィート(約4.5メートル)地点にツアースティックをそれぞれ置き、その間に8球のボールを少しずつ強く打っていく。
ボール2個同時打ちは、フェースをスクエアに戻すための練習。「単純に2個のボールを打つのが、一番分かりやすい」。2球が同じ方向・同じスピードで打ち出されれば、ストロークは真っすぐ。少しでもフェースが開いたり閉じたりすれば、球筋にすぐズレが出る。
石川は専用の練習器具の上にボールを2個並べ、そのレールの上をおよそ1.5メートル先の仮想カップまで打っている。これは昨年の12月から続けている練習で、ボールの外側にティペグを3本挿して、「アウトに上げるクセとか、フォローをアウトに抜いていくクセを矯正したい」と、その意図を説明する。上から見て真っすぐのストロークが斜めに歪めば、たちまちティに当たる仕組みだ。
次にボールからの距離を足の長さで30センチずつ測りながら、1.5メートル先にツアースティックを置いて、4.5メートル先にもう1本のツアースティックを置く。手前の棒は打っていく方向を邪魔しないように少し右にズラし、奥の棒は転がっていくボールの“壁”となるような配置だ。
最初の1球は、1.5メートルを少し超える程度の強さで。その後は1球ごとにタッチをわずかに強めていき、ボールがどこまで転がるかを調整する。これについて石川は「自分が上手くなるということもあるんですけど、調整の意味が大きい」と語る。
その日の自分の状態やグリーンコンディションによって、ボールのコロがりは微妙に変わってくる。男子プロが戦う12フィート超の高速グリーンともなれば、ほんのわずかなタッチの差がスコアに直結する。石川はタッチが合わないとき、その原因がどこにあるのかを把握したいと考えている。
「ずっと同じ練習をしていれば、自分の変化やグリーンの変化に気づける。だけど、毎日なんとなくやっていると、どこが合わなくなったのか分からなくなる。自分が変わったのか、グリーンが変わったのか。ダメになる理由をつぶしていきたい」
グリーンは生き物だ。雨や湿気、風の影響で状態は目まぐるしく変わる。実際はグリーンの変化による影響でも、それに気づかず自分のストロークに原因を求めてしまえば、たちまち絶不調に陥ることもある。「答えを間違えたくないんですよ」というのが石川の本音だ。
「本当はただグリーンのスピードにイメージやスピードが合っていなかっただけなのに、『打ち方かな?』と走っちゃうのはもったいない」
今季の石川の成績を振り返ると、「東建ホームメイトカップ」の初日に「65」、「前澤杯 MAEZAWA CUP」の2日目に「64」というビッグスコアも出している。だが、いずれも優勝スコアとは10打離されてトップ10入りを逃しており、優勝争いに加わることはできていない。朝の練習グリーンの新ルーティンで、ビッグスコア連発なるか。(文・下村耕平)
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