スイング不調にヘッド交換… シェフラーは5打差の圧勝も「最も厳しい戦いの一つ」
<全米プロゴルフ選手権 最終日◇18日◇クエイル・ホローC(ノースカロライナ州)◇7626ヤード・パー71>
今季のメジャー第2戦は、世界ランキング1位のスコッティ・シェフラー(米国)の勝利で幕を閉じた。2022年、2024年の「マスターズ」に続く自身3度目のメジャータイトルを獲得し、「キャリアの中でも最も厳しい戦いの一つ。かなりチャレンジングな一週間だった」と振り返った。
最終18番、ウィニングパットを沈めるとキャディと強く抱き合い、普段は感情を表に出さないシェフラーが、珍しくグリーンに帽子を叩きつけて喜びを爆発させた。
結果は2位に5打差をつける圧勝だったが、「最初の2日間は自分のスイングがベストではなかったけど、なんとかスコアをまとめられた」と語るように、自身の中では苦しい戦いだった。それだけに、勝利の瞬間は感情が抑えきれなかった。
さらに、大会開幕前にはちょっとしたトラブルもあった。大会を主催する全米プロゴルフ協会(PGA)が、大会開幕を前にドライバーの適合テストを実施。出場者の約3分の1がランダムにテスト対象となり、その中にシェフラーの名前も入っていた。ヘッドの反発係数が基準値を超えて不適合と判断され、今週はスペアのヘッドで大会に臨んでいた。
最終日、前半はティショットの左へのミスが続き、フロント9は「37」とスコアを2つ落とすなど苦戦。ジョン・ラーム(スペイン)に並ばれる場面もあった。しかし、「10番から15番にかけて、今週一番のプレーができた」と、後半は調子を取り戻して「34」。プレッシャーがかかる中で確実に伸ばし、後続を突き放した。
「ターン(前半終了後)で自分に言い聞かせたのは、『ナイススイングをし続けていれば、左には行かないはずだ』。だから、10番ではただフェアウェイに乗せることだけを考えてた」。冷静に立て直す強さは、まさに世界No.1の風格だった。
これで、メジャー3勝目。2022年2月の「WMフェニックス・オープン」で初優勝を挙げて以降、その勢いのまま3月に2勝目、4月には「マスターズ」を制覇した。当時の快進撃は自身でも気持ちが追いつかないほどで、マスターズの最終日直前には「戦う準備ができていない」と弱音を吐くほどの重圧を感じていた。
「今思えば、準備ができていなかったわけではないけれど、あまりにも急展開だったことに戸惑っていたんだ。今朝も長い朝だった。ただ、こういうチャンスは人生でそう多くない。『勝っても負けても、家に帰れば普通に過ごせる』って思えたら楽なのかもしれないが、やっぱり勝ちたい」。かつてはプレッシャーに揺れた男が、今やその重圧すら楽しんでいる。
ここ数年、世界ランキング1位としてその実力を証明し続けるシェフラー。その圧倒的な強さの背景には、何が隠されているのだろうか。「ゴルフについて考えると、たぶん一番好きなのは、誰にも邪魔されずに一人で練習できる時間。すごく平和な時間で、何かをつかもうとするその過程が本当に楽しい。この競技の良いところは、自分自身と常に戦っているところ。常に何かを修正しようとするし、完璧になることは決してない。僕は何かに集中すると、少しクレイジーになるところがある」。
ただ純粋にゴルフに向き合い、ひたむきにクラブを振る。『好きこそ物の上手なれ』と言うが、それこそが世界最高の舞台で勝ち続ける理由なのかもしれない。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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