日本一の飛ばし屋・河本力が3差発進 日本一曲がらない男の“妙技”に感嘆「あの人は特別」
<中日クラウンズ 初日◇1日◇名古屋ゴルフ倶楽部 和合コース(愛知県)◇6557ヤード・パー70>
15番パー5のバーディパットを悔やんだ。インスタートの河本力は、10番、13番でバーディを奪ったが、チャンスにつけた15番で「少し強かった」という1メートル弱のパットはカップを1周して外れた。すると「そこから流れが悪くなって」16、17番で連続ボギー。後半も1バーディ・1ボギーで、初日は「70」にとどまった。
「流れとしては5つ、6つへこまして(アンダーで)終わりたかったのが本音ですけど…」と反省点もあるが、首位と3打差の12位タイと3シーズンぶりの優勝に向けて、初日としては悪くない位置で終えた。
今年で65回目を迎える今大会は、総距離こそ短いものの、小さくて硬いグリーンや巧みに配置されたハザードなど、戦略性の高さから難攻不落と呼ばれる。平均飛距離320ヤード以上で3年連続ドライビングディスタンス1位の男の武器は、他のコースよりは発揮しにくい。
それでも昨年は2位タイで予選を突破し、最終的に12位タイに入った。決して相性が悪いわけではない。「パー5はチャンスホールではないし、パー4とかでマネジメントしながら、どれだけチャンスを作れるか。人より高さを出して止めるボールが打てるので、その面では優利なのかなと思ったりはします」。初日にドライバーを握ったのは6ホールのみ。そのほかは残り距離を考えてクラブを選び、フルショットばかりではなく、コントロールショットも多用してスコアメークをしている。
高い球を打てる有利さはあるが、和合の攻略には「精度の高さが大前提」と話す。河本の言葉を地で行くのが、2022年大会覇者で同組の稲森佑貴だ。4バーディ・2ボギーの「68」で回り、首位と1打差の3位タイで滑り出した。
稲用は昨季の平均飛距離267.3ヤードで、319.25ヤードの河本とは50ヤード以上の差がある。ただし、9季連続フェアウェイキープ率1位で、昨季はツアー初の80%超え(83.673%)を果たした“日本一曲がらない男”の真骨頂は、飛距離ではない。
「あの人は特別です。ショットがマジで上手い。風が吹いてもスピンコントロールして合わせてくる。一番スゴイ」
最も驚かされたのは、2番パー5(523ヤード)。稲森はフェアウェイをキープすると、2打目はピンまで246ヤード残った。グリーンの手前左右にガードバンカーがあり、花道の幅は10ヤード弱に絞られている。ボールの位置からだと「2~3メートルぐらいの幅に見える」と河本の目には“極狭”に映った。
向かい風ということもあり、稲森の2打目はグリーンの手前に着弾したが、「花道を転がって、エッジの少し手前まで行きました。あの幅を狙っていて、スゲー」と目を丸くする。稲森はしっかり寄せてバーディとした。
対して河本はビッグドライブを見せて、残りは171ヤード。稲森の75ヤード先までかっ飛ばした。8番アイアンでの2打目は奥9メートルに乗せて、イーグル逃しのバーディ。「僕も(イーグル)チャンスではあったんですけど、(どれだけ飛ばしても)上がったら一緒。そういうところがスゴイ」。改めて、和合では“精度”が大切だと痛感した一幕だ。
ちなみに、稲森に2番ホールのことを聞くと「『右のバンカーでもいいや』と思って打ったら、ラッキーでした。クルーズコントロールです」とにやりと笑った。
初日のスコアは日本一曲がらない男に軍配が上がったが、勝負は残り3日。「状態はすごくいいので、流れだったり、集中を保っていけたら日曜日にいいところでプレーできると思う。いい準備はできているので、2日目からもしっかりやっていきたい」。和合の攻略法を再確認し、3季ぶり3勝目への確かな手応えをつかんだ。(文・小高拓)
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