ウェッジ選びは「バンス角」と「ロフト角」の選択が肝心!【ゴルフクラブアドバイザーに聞いてみた】
グリーン周りのアプローチや100ヤード以内のさまざまな距離で使用するウェッジは、上級者になるほど重要視するクラブだ。パー5でバーディを奪ったり、グリーンを外したときに寄せワンを取ったりと、ショートゲームが向上することで大叩きがなくなり、スコアが安定しやすくなるからだ。
近年、アイアンセットとは別に単品でウェッジを購入するのが主流となっている。メーカー各社は1つのモデルに対し、さまざまなロフト角やソール形状のウェッジをラインナップしており、ゴルファーが自分のプレースタイルに合わせて選べるようになっている。最高のウェッジセッティングを作る上で、良い状況ができていると言えるが、一方で種類が多すぎてどう選べばいいか分からないと悩むゴルファーも少なくないだろう。そこで今回は、Victoria Golfの「ゴルフクラブアドバイザー」内山和則さんに自分に合うウェッジを選ぶためのポイントについて聞いてみた。
「ウェッジ選びでまず大切になるのは『ロフト角』です。自分が使っているアイアンセットのPWの下に入れるウェッジの『ロフト角』を何度にするべきか考えると、おのずと何度のウェッジを何本入れるべきか見えてきます。最近ではアイアンの多様化が進んでいて、同じPWという表記でも、モデルによってかなりのロフト差があります。HONMAの『T//WORLD IRON』を例に取ると、アスリートモデルの『TOUR V』のPWは45度ですが、飛距離重視の『Hx』は41度の設定になっています。アスリート系でPWのロフトの寝たアイアンを使っているなら、ウェッジは2〜3本でOKですし、ストロングロフトの飛び系であれば飛距離のピッチを整える意味で4本投入するのもアリです」
では、アイアンセットのPWの『ロフト角』を調べたとして、何度刻みにウェッジを選ぶべきなのだろう。
「100ヤード以内の距離の打ち分けを考えて、4度刻みにウェッジを選ぶのが基本です。PWが46度であれば、50度・54度・58度の3本になります。ツアーで戦う女子プロにも多い組み合わせですので、アスリート系のアイアンを使っている場合のおすすめセッティングになっています。ただし、これはあくまでベースであって、個人の特性に合わせて、アレンジを加えるのもアリです。例えば50度で100ヤードに少し届かない場合に48度の変更しても良いですし、58度を60度に替えて、高さで止めるアプローチ専用のクラブにする方法もあります。また、PWが42度の飛び系を使っていてウェッジを3本に抑えたい場合などは、48度・54度・60度と6度刻みにするケースもあるでしょう。自分の打ちたい距離が打てる『ロフト角』を把握しておくと、最適なウェッジセッティングが作りやすくなります」
セッティングの中で最も『ロフト角』の大きいウェッジは、グリーン周りのアプローチやバンカー、長めの距離でハーフショットをするなど、1本でさまざまな打ち方に対応する必要がある。そのため、メーカー各社はソール形状にバリエーションを出しており、好みに合わせて選べるようになっている。このとき、自分に合ったソール形状を選ぶ上でポイントになるのが『バンス角』だ。
一般的に『バンス角』が大きいほどやさしく、小さいほど上級者向きと言われるが、内山さんは必ずしもそうではないと話す。
「『バンス角』とはソールに付けられた出っ張りの大きさを指しています。この出っ張りがあることで地面にヘッドが刺さらず跳ねてくれるので、ダフリを防ぐ効果があり、それゆえに『バンス角』の大きいウェッジはやさしいと言われます。ダフリの多い人には大きな助けになる機能ですが、一方でトップすることの多い人が使うと地面で跳ねる分、ミスを助長する危険があります。そういう人にはむしろ『バンス角』の少ないモデルがおすすめとなるわけです。つまり、ミスの傾向に合わせて、『バンス角』を選ぶのが正解です」
「ゴルフショップでウェッジが試打できる場合は、『バンス角』が10〜12度の“スタンダードバンス”のモデルを最初にテストしてください。その上でダフリとトップ、どちらのミスが出るかを見極めて、『バンス角』を増やすか、減らすか決めましょう。あと気をつけたいのはソールのデザインで性能が変わることです。よく『バンス角』が少ないと操作性が高いと言われますが、これはソールのデザイン次第。HONMAの『TW-W』では『バンス角』が12度と8度のモデルが用意されていますが、フェースを開くなど技が使えるのは、実は12度のモデルです。ソールの後方が落とされて抜けが良くなっているためです。数字を鵜呑みにせず、メーカーの説明やギアに詳しいショップスタッフに相談してみると良いでしょう」
「あと気をつけるとしたらシャフトでしょうか。ウェッジはゆっくり振るクラブですので、しっかりと重量のあるシャフトを選ぶことが大切です。少なくともアイアンと同じ重さのシャフトを選び、トップなどのミスが出る場合は少し重いモデルへの変更を検討してください」
信頼できるウェッジを持っているかどうかは、スコアメイクに大きく影響する。自分に合った『ロフト角』や『バンス角』のウェッジがあれば、寄せワンの確率が上がってベストスコア更新も見えるだろう。「ゴルフクラブアドバイザー」が推奨するウェッジの選び方を参考に、自分に合った最高のウェッジセッティングを組んでほしい。
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女子プロの使用アイアンを調査。関連記事【ウェッジの選び方は“バンス”が重要! 2024年の30モデルをアプローチタイプ別に紹介】を読めば、その秘密がわかります。
<ゴルフ情報ALBA Net>
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