EVなのにエンジン音やギアチェンジ音が!? 韓国ヒョンデ・アイオニック5Nの走りがおもしれぇーー!!
空力性能を高める専用エアロパーツを装着している関係で、ベース車のアイオニック5よりも全長がチョイ長くなっている
昨年6月に韓国のヒョンデが日本市場に投入した高性能モデル・アイオニック5N。最高出力650馬力を誇るEVは、いったいどんな走りを披露してくれるのか? 噂のハイパフォーマンスモデルを一般道を中心に走り、チェックしてきたぞ!!
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■ブースト機能を備えるEV昨年の世界新車販売台数でトヨタグループ、フォルクスワーゲングループに次ぐ3位が韓国のヒョンデ。しかし、日本市場では昔から鳴かず飛ばず。
あえなく2009年に撤退となったが、22年2月に捲土重来とばかりに再上陸を果たし、昨年6月にはサーキット走行だけでなく、ドリフトまで楽しめる高性能すぎるEV、アイオニック5Nを発売した。
実はこのアイオニック5N、世界的評価がすこぶる高いマシンなのだ。24年のワールド・パフォーマンス・カーを筆頭に名だたる賞を総なめ。海外メディアからは〝ゲームチェンジャー〟と呼ばれている。
衝撃は今年1月。世界最大級の改造車の祭典「東京オートサロン2025」にアイオニック5Nの走りをさらに突き詰め、年内発売予定のDKエディションがお披露目されたのだ。
驚いたのはその監修者。なんと、〝ドリフトキング〟の異名を持つ土屋圭市氏! ベースとなったアイオニック5Nに初めて乗ったときの感想を求めると、土屋氏は笑顔で言った。
「『なんじゃこりゃ』って」
辛口で鳴らす専門家筋の皆さんもこう口をそろえる。
「アイオニック5NというEVは乗れば魅力がわかる。とにかくスゴいクルマ」
ヒョンデ アイオニック5N 価格:858万円 専用エアロや21インチの鍛造アルミホイールなどによって外観は超ド迫力な仕上がり。問答無用で男心に火をつけてくれる
ボディサイズは全長4715㎜×全幅1940㎜×全高1625㎜。車重は2210㎏というヘビー級ボディ
というわけで、ヒョンデ自慢のギンギンEVに試乗したのだが、スペックからして異次元。最高出力は650馬力。最高速度は時速260キロで、時速100キロ到達は3.4秒というモーレツぶり。まさにハイパフォーマンスEVである。
それもそのはず。ヒョンデの高性能スポーツブランドであるNが手を入れたモデルだからだ。ちなみにNは15年に誕生し、その名はヒョンデの開発拠点の南陽と開発テストの舞台であるドイツのサーキット場、ニュルブルクリンクが由来だという。
ヒョンデはWRC(世界ラリー選手権)に参戦しているが、そのマシンにもNの名が入っている。逆に言えば、WRCなどモータースポーツで得た技術や知見がNのキモというわけだ。
そんなNブランドが初めてEVを手がけたのがアイオニック5N。見た目もアグレッシブな専用のエアロパーツを装着するなど、やる気満々!
ハンドルにはスイッチやボタンなどがズラリと並ぶ。メーターにはモーターとバッテリーの温度も表示されている
前席は本革とアルカンターラのバケットタイプ。シートはヒーターなどの機能も備える
コックピットには男心をたぎらせるメカメカしさが広がる。何しろ液晶メーター、12.3インチのタッチスクリーンも情報ギガ盛り状態。具体的には運転のモード設定などを細かく設定できるのだ。
いざ走らせる。アイオニック5NはピュアEVにもかかわらず、刺激的なエンジンサウンドが響き渡る。しかも、スピードとともに音が増していく。
ハンドルについているレバーでギアチェンジすると、音はもちろん、シフトショックまで感じるじゃないか! もちろんEVなので、これらは演出されたもの。しかし、その出来というか再現度がレベチのエグさ。
ハンドルの右上にある赤いスイッチを押せば、ブースト機能が発動、10秒間だけ最高出力650馬力を味わえる。正直、公道では必要ない機能だと思うが、サーキットで遊ぶには最高のスパイスかも。
当たり前だが、EVなのでエンジンはない。しかし、走り出すと疑似的なエンジン音が炸裂
ここまで読むと、実にマニアックなクルマだと思うはず。しかし、アイオニック5Nはノーマルモードを選ぶと、ごく一般的な静かなEVに早変わりする。なので、普段使いで困ることはないだろう。
ただ、正直言うと、日本人としてはパイオニアであり、スーパースポーツカー・GT-Rを持つ日産にこそ、こういうEVを世界に先駆けて造ってほしかった感が......。
加えて日本の自動車メーカーがこの手のギンギンEVを世に送り出せるのか不安になったのも事実。そこで、専門家筋に聞いて回ったが、「日本勢はココに手は出さない」という声のみ(号泣)。
最後に日本市場にリベンジを挑んだヒョンデの販売状況をお伝えしたい。
JAIA(日本自動車輸入組合)によると、昨年の日本市場における輸入車販売台数のトップはメルセデス・ベンツ(5万3195台)。進撃の中国BYDは前年比57.7%増となる2383台を記録。気になるヒョンデは618台であった。食わず嫌いはもったいない!
取材・文/週プレ自動車班 撮影/山本佳吾
記事提供元:週プレNEWS
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