月間倒産件数の連続増加記録は戦後最長を更新中! 帝国データバンクが集計

賃金上昇が目立ち景気が良くなっているように見える昨今だが、企業の倒産件数をみるとそうとも言えないような状況だ。帝国データバンク(東京)が、2025年3月の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)を集計したところ、倒産件数は875件(前年同月870件、0.6%増)となり、35カ月連続で前年を上回った。戦後最長を更新し続けており、3月としては、3年連続で800件台となった
負債総額は973億8600万円(前年同月1320億500万円、26.2%減)と、5カ月ぶりに前年よりも減少。負債「1億円以上」の倒産が減ったこともあり、7カ月ぶりに1000億円を下回った。負債トップは、結婚式場の運営を行っていた株式会社アルカディアで54億200万円だった。
この調査によると、主因別で「不況型倒産」の合計が729件となり、35カ月連続で前年を上回る結果に。規模別では、負債「5000万円未満」(550件)が最も多いなど、中小零細規模の増加が全体を押し上げたという。

集計期間は3月1日~3月31日。
一方、同時に発表した2024年度の企業倒産件数(負債1000万円以上の法的整理が対象)は1万70件(前年度8881件、13.4%増)となり、3年連続で前年度を上回るとともに、11年ぶりに1万件を超えた。負債5000万円未満の倒産が2000年度以降で最多となるなど、中小零細規模の倒産が増加した。
要因別では「ゼロゼロ(コロナ)融資後倒産」が680件と初めて前年度を下回り、業種別の内訳は「建設業」(143件)が最も多く、「サービス業」(131件)、「小売業」(121件)と続いた。一方、「後継者難倒産」は507件判明し、前年度から減少も過去2番目の高水準となり、昨今の物価高を反映した「物価高倒産」は925件で過去最多を更新した。
集計期間は2024年4月1日~2025年3月31日。
帝国データバンクでは、今後の倒産動向に影響する主なリスク要因として、①不確実性が増す米国経済の減速懸念、②米トランプ政権による25%の自動車関税、③物価と賃金の好循環の“未実現”、④日銀による追加利上げ後の借入金利の上昇、⑤地銀再編に伴う融資先選別の動きなどを指摘。2025年度は、政策的な後押しもあり企業の「事業再構築」が進み、一定の「新陳代謝」が図られ、企業倒産は「緩やかな増加局面」が続くとしている。
記事提供元:オーヴォ(OvO)
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