夜行E653系「上野発・秋田行き」ツアーに参加してみた! 経路は往年の特急いなほルート
現在、定期運行している夜行列車はサンライズ出雲/瀬戸のみです。そのようななか、25年3月28日にJR東日本びゅうツーリズム&セールスが夜行列車E653系「上野発(上越 羽越線経由)秋田行き」ツアーを実施しました。そこで今回は、乗り鉄の筆者が実際にこのツアーに参加してみたので、ツアーの詳しい様子をレポートしましょう。
往年の特急いなほ(鳥海)ルートで上野から秋田まで運行!
JR上野駅は、かつて“北の玄関口”と呼ばれ、東北地方からの列車が数多く発着していました。
普通列車はもちろん、新幹線がなかった時代には特急列車や夜行列車の本数も多く、高度経済成長時代の集団就職などでJR上野駅はごった返していたのです。
しかし、東北地方に新幹線が整備されたことで、JR上野駅を発着する特急も激減。現在、定期運行している夜行列車はサンライズ出雲/瀬戸のみとなってしまいました。

今ではほとんど無くなってしまった夜行列車ですが、なんと、25年3月28日に団体ツアーとして復活。その名も『夜行E653系「上野発(上越 羽越線経由)秋田行き」(以降:夜行E653系)』です。
●JR東日本びゅうツーリズム&セールス(公式)は→こちら
夜行E653系は、JR東日本グループの「JR東日本びゅうツーリズム&セールス(以降JR東ツーリズム)」が企画した団体ツアー。往年の特急“いなほ”や前身の急行“鳥海”が通っていた上野から秋田までのルートをたどる行程となっています。どんなツアーになったのでしょうか?

夜行E653系「上野発秋田行き」ツアーは上野駅パンダ前集合
夜行E653系ツアーはJR上野駅入谷口改札の出口にある、巨大パンダのモニュメント前に21時~21時半に集合することになっています。
筆者が20時50分頃に到着すると、すでにJR東ツーリズムの添乗員が待機しており、受付が始まっていました。
さっそく筆者も受付を済ませ、JR上野駅17番線から出発する団体列車に乗り遅れないよう、連絡を受けます。


その後、夜食や翌日の食料などを調達して17番線で待機していると、多くの鉄道ファンがカメラを構えて待ち構えていました。17番線の電光掲示板は「団体」と表示され、それだけでテンションが上がります。
列車の入線は21時53分頃。水色の車両で、このツアーのために洗浄したのか、車体はとても綺麗でした。


発車まであまり時間がないので、急いで乗車して懐かしいE653系の車内を拝見。ツアー参加者の座席は全員窓側の席で通路側の席には誰もいないため、1人で2席分使えたのは嬉しい配慮ですね。
また、普通座席にコンセントの設備はないため、多くの人はモバイルバッテリーを持参していました。
座席のリクライニングなどを調整していると、アッという間に22時となり出発。ホームでは駅員や多くの鉄道ファンが見送ってくれたのが印象的です。



終電まではノロノロ運転、でも終電後はほぼノンストップで爆走!
夜行列車といえども普通列車の路線を走行するため、通常営業の列車が終わるまでは速度を出すことができません。
当然、今回の夜行E653系も例外ではなく、JR上野駅を出発して吹上駅に22時54分に停止後、2本の列車に抜かれてから発車しています。
また、夜行E653系は余裕のあるダイヤ編成が組まれているため、他の列車に遅れがあってもある程度調整ができるようになっています。そのため遅れがない場合は、何本か抜かされるように設定されているのです。

その後、籠原駅、高崎駅、新前橋に停車後、日付が変わって新前橋駅を0時7分に出発。このあたりから通常営業は終電となるため、徐々に列車の速度は上がって行きました。
深夜1時ちょうど、次の停車駅は上越線の水上駅になります。水上駅は高崎支社と新潟支社の系統分割がされる駅なので止まると思っていましたが予想通り。ただし、ここでも停車中にドアが開くことはなく数分ほどの停車で出発。ここから一気に夜行E653系が加速していきます。

ちなみに、営業が終わった駅は消灯していることが多いのですが、トンネルの中にあるJR土合駅は消灯せず照明がついていました。やはり、非常時に備えて消灯しない運営なのかもしれませんね。
また、ほぼすべての列車が停車するはずの越後湯沢駅ですが、夜行E653系が通過していたのはなかなか面白いと思いました。駅舎の照明も消されていたため、普段見ることができない車窓からの風景が夜行列車の醍醐味ですよね。
次に停車したのはJR長岡駅。約1時間半ほどノンストップで走行し、到着したのはなんと2時24分です。ここでの停車時間は1分程度でした。
おそらく時間調整で停車しただけで順調に走行していることが分かります。その後、2時59分に新津駅、3時43分には村上駅に到着し、いずれもすぐに発車しています。
なお、鉄道ファンはご存じでしょうが、村上駅と間島駅の駅間には直流電気と交流電気の切り替えポイントがあります。夜行E653系では3時47分に非常照明に切り替わり、デッドセクションを通過していきました。
そして、JR越後寒川駅には4時13分に到着。10分ほど停車したあと出発すると、5時10分ごろには空が明るくなり始めます。
夜行E653系の初めてのドアオープンはJR酒田駅だった
出発から初めてドアが開かれたのは山形県JR酒田駅でした。乗車してから7時間半後の5時22分に到着して、ここで30分間の停車です。当然、駅から出ることはできないので、多くのツアー参加者は駅や車両の写真を撮ったりしていました。
向かいのホームには5時27分発車の特急いなほ新潟行きが停車しており、待避線にもカラーリングの違うE653系が揃っていたのはなかなかエモい光景ですね。



次の停車駅はJR羽後本荘駅です。朝7時に到着して20分間停車しますが、この頃はすでに夜も明け、車窓からは日本海の荒波を堪能することができました。


そして、ついに定刻通りの8時6分にJR秋田駅に到着。駅員さんが「えぐきたなぁ~(よく来たね)」という旗を持って歓迎してくれました。ここからはツアー内容によって参加者がバラバラになるため、駅構内はかなり慌ただしい様子。
というわけで、約10時間という長旅でしたが、実際に乗ってみるとあっという間。筆者は、深夜帯にラジオを聞きながら過ごしましたが、若い頃に夜行であちこち旅行していたときを思い出して感傷に浸ってしまいました。
もちろん、乗り鉄の筆者としては流れていく夜景を眺めているだけでも十分に満足できるツアーです。また、ツアーで復活してくれると嬉しいのですが、できれば、土日限定で営業車として復活してもらえるといいですね。

まとめ
いかがでしょうか? 今回はJR東日本びゅうツーリズム&セールスが企画した夜行E653系「上野発(上越 羽越線経由)秋田行き」に実際に乗車したレポートをお届けしました。
夜行ということもあり乗車時はリクライニングを倒して寝ていたり、隣の席を使って横になっていたり、乗客の寝方もさまざまです。
ただ、E653系は非常灯はあるものの、減灯機能などはないため車内は常に明るく、アイマスクを持参しなかった人は、寝るのに苦労したと思います。

また今回の夜行E653系ツアーにはタオルとストラップの記念品が付いていました。これはツアー参加者だけの限定グッズなので、テンションが上がります。
ちなみに、タオルにデザインされている山は、特急鳥海のヘッドマークのオマージュでしょう。


記事提供元:スマホライフPLUS
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