国内女子ツアーで発生する“インターバル渋滞” 慣れないルーキーの過ごし方は?【現地記者コラム】
国内女子ツアーの3日間競技の予選ラウンドは、いわゆる午前組、午後組のスタートに分かれていない。108人のフィールドではアウト18組、イン18組の計36組でプレーする。先週行われていた今季第3戦「アクサレディス」の2日目は、アウトは第1組が午前7時50分、インは第19組が午前7時45分にティオフ。その後は10分間隔で、順次、各組がスタートしていった。
タイムテーブルでは最終組の第18組のティオフは午前10時40分。この時間にはインスタートの数組は前半の9ホールをすでに終えている。アウトスタートもまたしかり。その結果、ハーフターンではかなりの待ち時間が生じる。国内女子ツアー特有の“渋滞”は4、5組待ちが常で、アクサでもほとんどの組が40分ほどは待たされていた。
待ち時間をどう過ごすのか。軽食を摂る選手、休憩する選手、練習グリーンでパットの確認をする選手…。この時期はラウンドで一度温まった体が冷える恐れもあるので、有意義に時間を使うことが、後半のパフォーマンスにも直結する。選手も当然いろいろ考えているが、ハーフターンで流れが変わり、不思議なほど前半と後半のスコアが変わることは多い。
国内女子ツアーで日常となっているハーフターン休憩の過ごし方は、練習グリーンでのパッティングの確認と休憩の“複合型”がよくあるパターンだ。 経験が浅い選手は長い“昼休み”に戸惑うかもしれないが、この試合がプロ2戦目ながら、すでに自分のスタイルを確立していたのが、注目ルーキーの青木香奈子だった。
2日目はアウトスタートの第7組。スコアを3つ伸ばして迎えた前半最後の9番パー4で1メートル強のパーパットを外した直後の折り返し。もったいないボギーのあとにすぐパットの練習ができれば、気持ちのリセットもできる。練習グリーンに当然直行すると思ったが、予想に反してスルーだった。
「 (パッティングは)スタート前の練習で確認したら、あとはそれをやり通すだけだと思っています。それよりもリラックスする方が大切かなと」
デビュー戦だった前週の「Vポイント×SMBCレディス」で13位に入り、注目度は大幅にアップ。インスタグラムのフォロワーはこの2試合だけで2万1000人増の8万1000人となった24歳は“リラックス重視型”だ。
宮崎市出身で地元大会。クラブハウス前では知り合いと思われるギャラリーとも談笑していた。ギャラリーが歩ける場所と関係者以外は入れないエリアを区切ったフェンス越しの会話に、笑みもこぼれる。「おしゃべりも私にとってはリラックスのひとつです」。もちろん、そこでも注意は必要になってくる。待ち時間もラウンド中に変わりはない。他愛もない楽しい会話が、ふとした弾みでルールに抵触するような内容に変わるかもしれない。仮にアドバイスを求めたと指摘されれば最悪、失格になるため気をつけるに越したことはない。
青木のようにフレンドリーな性格な選手だと、ファンも話しかけやすくなる。選手も相手が顔見知りならば笑顔で対応してしまう。“渋滞待ち”を解消する抜本的な策があれば、こんな心配もしなくていいのだが、それができるまでは選手もファンも、『李下に冠を正さず』、『瓜田に履をいれず』でいてほしい。ゴルフで大事なのは距離感。それは何もショットだけのことではないのだ。(文・臼杵孝志)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。