日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『ロングレッグス』をレビュー!
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父親がある日発作的に家族全員を殺して自分も自殺する、という事件が連続して起こる。だが、現場にはいつも「ロングレッグス」と署名された、不気味な記号で暗号が綴られた手紙が残されている。
ということは、父親は突然いかれたわけではなく、誰かに操られてそのような凶行に及んだのだろうか? このミステリーに、サイキック能力のあるFBI捜査官の若い女性が挑むことになるのだが、どうやら彼女の子供時代の記憶も事件に関係しているらしい。
「アート映画」的な画作りが徹底されたクールなホラー映画で、雰囲気は抜群だ。しかし、わざわざ1990年代、すなわち全米を「サタニック・パニック」(悪魔崇拝者が組織的に子供を虐待し殺しているというデマに基づくパニック)が襲っていた時代を舞台に、悪魔崇拝モチーフをちりばめても、結局それが雰囲気作りのためのガジェットでは意味がない。
ホラー映画として全く物足りないのは、ショックより雰囲気を重視した演出が徹底されているからだ。ミステリアスな雰囲気はそれはそれで良いものだが、恐怖の源も、それがもたらす影響も、最終的な着地点も雰囲気だけで片付けるのはさすがに怠惰と言わざるを得ない。
STORY:FBIの新人捜査官リー・ハーカーは過去30年間に10回も発生した未解決事件の担当に抜擢される。現場に残された「ロングレッグス」という署名付きの暗号文を解読するうち、自身とロングレッグスの意外な接点が明らかになる......
監督・脚本:オズグッド・パーキンス
出演:マイカ・モンロー、ニコラス・ケイジ、ブレア・アンダーウッド、アリシア・ウィットほか
上映時間:101分
全国公開中
記事提供元:週プレNEWS
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