三笘 薫らが活躍中。欧州のサッカー五大リーグで評価が高い日本人は!?
今年に入りゴールを量産するブライトンの三笘。リーグ戦全試合出場を続けるなど存在感を増し、今夏にチェルシーが獲得するという噂も
サッカーの本場ヨーロッパでは、日本人選手が活躍する姿を見るのが今や当たり前の風景になっている。それは、プレミアリーグ(イングランド)、ラ・リーガ(スペイン)、セリエA(イタリア)、ブンデスリーガ(ドイツ)、リーグ・アン(フランス)といった「五大リーグ」にも言えること。今シーズンも多くの日本人が五大リーグで躍動し、評価を高めている。
その中でも、世界最高峰のプレミアリーグで際立った活躍を見せているのが、ブライトンで3シーズン目を迎えている三笘 薫だ。
2022年からプレミアリーグでプレーする三笘が最初に現地で脚光を浴びたのは、日本代表として出場した22年カタールW杯後のこと。
そのシーズンの後半戦、自慢のドリブルで相手を切り裂いてゴールを量産。特に左サイドのタッチライン際でボールを持ったときは、プレミアリーグでも「誰も止められない選手」として、対戦相手から警戒される存在になった。
2年目は度重なる負傷に苦しみフォームを崩してしまったが、今シーズンは完全復活。トップフォームを取り戻し、リーグの全26試合(2月22日時点。以下同)に出場するチーム唯一の選手として、絶対的な存在になっている。
とりわけ、今年に入ってからの好調ぶりには目を見張るものがある。1月には、イプスウィッチ戦、マンチェスター・ユナイテッド戦で連続ゴールを決め、2月には強豪チェルシーとの国内カップ戦とリーグ戦の2連戦、続くサウサンプトン戦で3試合連続ゴール。
7試合で5ゴールを量産して〝無双〟とも言える活躍を見せ、それに伴ってチーム成績も上昇。8戦未勝利の不振から脱出した。
出場試合数にも表れているように、今シーズンからチームの指揮を執るファビアン・ヒュルツェラー新監督は、もともと三笘に絶大な信頼を寄せていた。
ただ、さすがにここ最近の充実ぶりについては「彼には速さがあり、1対1に優れ、ゴールを決めることができる。時間があまりなくても狭いスペースで解決策を見つけることもできる。彼と一緒に仕事ができて、本当に幸せだ」と、手放しで称賛するほどだ。
そんな三笘は、クリスティアーノ・ロナウドが所属するサウジアラビアのアル・ナスルから、推定約104億円という高額な移籍金でオファーを受けたことが話題となった。もちろんチームは拒否したが、三笘の市場価値は急上昇しており、今夏にチェルシーへの移籍が噂されるほどの〝人気銘柄〟になっている。
最近は中央突破からのゴールも増えているだけに、今後はよりプレーの幅を広げた三笘が、プレミアリーグを席巻するかもしれない。
フランスでは、スタッド・ランスでプレーする日本代表FWの中村敬斗が〝大化け〟している。
加入2年目の中村は、開幕からレギュラーとして左ウイングに定着すると、昨年9月のナント戦で決めた決勝ゴールを皮切りに、ヨーロッパの主要リーグでプレーする日本人として初となる5戦連続得点記録を樹立した。
その後もゴールを重ねた中村は、23試合を終えた時点で8ゴール。加入初年度の昨シーズンに記録した4ゴールを早くも倍増させ、得点力の高さを存分に発揮している。
目下、チーム内得点王の中村をサイドでプレーさせておくのは非効率と考えた首脳陣は、最近は1トップやトップ下といった中央ポジションで起用。中村もその期待に応えて前線中央に順応し、効果的なプレーができるように進化している。
このまま中村が1トップに定着すれば、日本代表のポジション争いにも大きな影響を与えるはずだ。
パルマで正GKの座を獲得した鈴木は、父がガーナ人で母が日本人。身体能力を生かしたセーブやキックでチームに貢献する
同じく日本代表では、GK鈴木彩艶もイタリアのセリエA、パルマで活躍している。スコアレスドローに終わった今年1月のトリノ戦では、再三のビッグセーブで勝ち点1ポイント獲得に大きく貢献し、マン・オブ・ザ・マッチに選出された。
ガーナ人の父と日本人の母の間に生まれた鈴木は、浦和レッズのアカデミー時代から注目を浴びていた大型GKで、23年夏に移籍したベルギーのシント=トロイデンを経て、今シーズンにパルマ入り。
まだ22歳だが、ずばぬけた身体能力を生かしたシュートブロックのほか、長距離キックで攻撃の起点にもなれるなど可能性は無限大。昨年のアジアカップでは批判にさらされたが、その悔しさをバネに成長を遂げ、現在は日本代表で不動の正GKになった。
そもそも、ヨーロッパで日本人GKがレギュラーをつかむことが珍しく、ましてや〝守備の国〟イタリアで正GKを務めていること自体が画期的と言える。鈴木は今後、日本人GKの評価を大きく変えるに違いない。
マインツ1年目でレギュラーに定着した佐野。中盤でボールを奪う能力が高く、日本代表の主将・遠藤 航と比較されることも
そしてもうひとり、ドイツで目覚ましい進化を遂げている日本人がいる。今シーズンからマインツでプレーするMFの佐野海舟だ。
鹿島アントラーズから移籍した佐野は、自身初となるヨーロッパでのプレーにもかかわらず、開幕戦でダブルボランチの一角として先発デビューを飾ると、その後もレギュラーに定着。リーグ戦全23試合に先発出場し、第4節からは20試合連続フル出場と、ルーキーとしては異例の活躍を見せている。
最大の武器は中盤のボール回収能力で、ボール奪取後の推進力も高い。佐野が持つ戦術眼と球際の技術がバックボーンになっているが、そのプレースタイルがチーム戦術にマッチしていることも大きい。
現在では、デュエル(1対1での戦い)勝利数でリーグトップ10にランキングされるまでに成長。ヨーロッパ組の中でも今後の注目株のひとりだ。
このまま佐野が成長を続けることができれば、アジアカップ以来となる日本代表復帰も十分にある。森保一監督がマインツ戦を視察したことからすると、意外とその日は近いのかもしれない。
取材・文/中山 淳 写真/アフロ
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。