悲劇のウクライナを救う“悪魔の兵器”に挑む日本人の知られざる闘い:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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2月21日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「“悪魔の兵器”と闘う!~ニッポンの技術~」。
ロシアによるウクライナ侵攻開始から3年。ウクライナでは最も残忍な兵器とされる地雷や不発弾が国土の約4分の1を覆い、世界最悪の汚染状況といわれている。
そんな地雷と闘い続けるのが、「日建」の会長・雨宮 清さんだ。雨宮さんは建設重機を改良した地雷除去機を独自開発。そんな雨宮さんの元に、ウクライナに向けた地雷除去機をつくってほしいとの依頼が舞い込む。今も戦闘が続くウクライナで、「日建」の地雷除去機は活躍できるのか。悲劇のウクライナを救おうと奮闘する日本人の知られざる闘いを追った。
【動画】悲劇のウクライナを救う“悪魔の兵器”に挑む日本人の知られざる闘い
命を守る…日本人の挑戦
2022年2月24日に始まったロシアによる侵攻では、戦車やミサイルによる総攻撃に加え“核の脅威”まで懸念されるウクライナで、意外な兵器が大きな問題になっていた。

ウクライナ非常事態庁(国家の救難・救助を専門を担当)で、最前線から戻ったばかりの幹部、オリニク・セルヒーさんが見せてくれたのは、現場で回収したロシア軍が使っている地雷のサンプル。ソ連時代のものもいまだに大量に使われているという。

現在の戦況を示す地図。赤色のラインは実際に戦闘が続く地帯で、黄色が地雷に汚染されているエリア。汚染地域は侵攻直後にロシア軍が迫った首都キーウ中心部の間近まで…実に国土の約4分の1に及んでいた。「地雷除去作業員24人が亡くなり、398人が負傷しました」(オリニクさん)。

ウクライナを悩ませているのが地中に埋められた地雷で、そのほとんどを手作業で処理。ロシア軍の侵攻以来、200万個以上とも言われる地雷が仕掛けられたという。
一般市民も地雷により、415人が死亡、982人が負傷している(2025年1月時点 OHCHR調べ)。無差別に被害を増大させる地雷は、「悪魔の兵器」と呼ばれていた。
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2008年、ガイアは建設重機メーカー「日建」(山梨・南アルプス市)を一代で築き上げた雨宮 清会長(当時61)のもとを訪ねていた。当時の社名は「山梨日立建機」で、建設用の重機の組み立てや販売を行う「日立建機」の子会社だった。

1994年、雨宮さんは「復興には重機が必要になる」と内戦が終わったカンボジアへ。
「右膝の下から足がない老人と出会った。その時に、『カンボジアの人を助けてください』と手を握られた。平和に暮らしている日本人として、こういう人たちを助けないといけない。早く地雷除去することに、日本人として技術者としての使命感を感じた」(雨宮さん)。
当時、カンボジア全土に残された地雷の除去は手作業で行われていたが、時間がかかる上に危険が伴う。雨宮さんが見せてくれた当時のスケッチ図には、本業である建設用重機を改良した地雷除去機が描かれていた。この重機を使って、地中に埋まった地雷を根こそぎ破壊しようというのだ。

こうして完成させたのが、「ロータリーカッタ」と呼ばれ、高速で回転する金属の刃を持つ重機。これで地雷原を掘り起こしていくと、地雷を爆発させて破壊することができる。
作業員の命を守るため、対戦車用の強力な地雷にも耐えられる強度に。この重機が、地雷除去作業を一変させた。
雨宮さんの地雷除去機は、今やカンボジアを始め、アフガニスタン、ベトナム、アフリカ各地など、世界11カ国で151台が活躍。しかし開発費に対する国の支援はなく、事業としてはいまだ赤字だ。雨宮さんは「日立建機」から独立した今もなお、本業で穴埋めしながら開発を続けている。

そんな雨宮さんのもとに新たなミッションが。2023年3月21日、ゼレンスキー大統領が、武器を供与できない日本に地雷除去の支援を求めたのだ。
2024年、再びガイアが「日建」に向かうと、日本政府から依頼を受けた雨宮さんは、ウクライナ向け地雷除去機の製造に取りかかっていた。これまでとは勝手の違う、戦争が続く地域に向けての納入とあり、より丈夫な地雷除去機をつくることに。さまざまな改良を施し、ロータリーカッタを一段と強力にした他、先端部分は用途に合わせて取り換えられるようにした。これでがれきや木など大きき障害物を取り除くことができる。
「世界中、手がつけられない状況の中で、日本人としての誇りを持って挑戦したい。できないことをやるのが俺の性分で、やるしかない」。

雨宮さんの思い、そして技術が詰まった地雷除去機を日本政府が12台買い上げ、ウクライナに無償提供することになった。
ウクライナの精鋭たちが集結

7月中旬。ウクライナで地雷除去作業員として最前線の任務にあたっているメンバー総勢14人が来日した。彼らは「日建」の地雷除去機を短期間でマスターするために選ばれた精鋭たちだ。
山梨県にある「日建」本社を訪れたメンバーは、2週間にわたって地雷除去機の取り扱いを学ぶ。

まずは重機がいかに丈夫かという耐爆試験の映像を見てもらうが、「作業員は大丈夫ですか?」との質問が。「世界中に納めた私どもの機械で、ロータリーカッタが壊れた、機械が壊れた、オペレーターに損傷があったということは一回もない」と雨宮さん。

ウクライナは戦争の真っただ中とあり、操縦席は6.6センチの防弾ガラスで守られている。雨宮さんはこれまでの実績や安全性をアピールするが、命懸けの地雷除去作業とあり、彼らがなかなか納得できないのも当然だ。
今ウクライナでは、ヨーロッパのメーカーが製造したブルドーザータイプの地雷除去機が使われているが、平らなところしか処理できず、森に近づけないという弱点があった。
一方、雨宮さんが作った機械は、森の中まで入って地雷を処理できる。

翌日、実際に地雷除去機を使う訓練が始まった。彼らは地雷処理のプロだが、このタイプの重機を使うのは初めてで興味津々。重機はメーカーによって動かし方が違うため、基本操作から学ぶ。さらに、ウクライナで重機が故障した際は自分たちで直さなければならないため、操縦だけではなく、メンテナンスも覚えなければならない。
参加した唯一の女性、コミシャン・イリーナさん(25)は大卒のエリートで、来日したメンバーの中では2番目に偉い立場。重機の操縦は今日が始めてだが、国へ帰ったら教官を務めるため、誰にもまして熱心に取り組み、確実にマスターしていく。
「戦争で地雷汚染が進み、深刻な問題になっている。日本の素晴らしい機械を提供してもらったので、この研修で学ぶことがウクライナの未来にとってとても重要」(イリーナさん)。

日本好きで重機の扱いに慣れているペトレンコ・ウラジスラフさん(24)は、ここに来るまで、ハルキウというロシア軍の拠点があった最も戦闘が激しい場所で作業をしていた。ロシア、ウクライナ双方の地雷が大量にばらまかれた地域だ。
「(地雷除去は)もちろん怖い。でも、恐怖を感じずに安全に作業をすることはできないと思う。恐怖を感じない人は、むしろ地雷除去には向いていない」と話す。
「日建」での特訓を終えた一行はすぐにウクライナへは戻らず、かつて地雷汚染大国であったカンボジアに向かった。これまで日本の支援によって多くの地雷が除去されてきたカンボジアだが、内戦が終わり30年以上経った今も、多くの地雷や不発弾が残っている。いまだに立入禁止とされている地雷除去の現場が広がっていた。

日本で基礎練習を終えた一行は、この地で1カ月の実践訓練を積むことに。指導するのはカンボジア地雷対策センターの隊員たちで、この場所で使われているのが、雨宮さんがつくった「日建」の地雷除去機だ。
早速乗り込んだイリーナさんは、山梨で習得した運転技術を駆使し、森林地帯を掘り返していく。

そして、指示されたエリアに埋められた火薬の入っていないダミーの地雷を除去できるのか、テストが行われることに。腕利きのペトレンコさんが挑むが、果たして地雷を破壊できるのか――。
こうして、1カ月に及ぶ訓練を積んだ14人のメンバーたち。いよいよウクライナに帰国し、最前線へと投入されることになるが、そこで待っていたそれぞれの運命とは――。
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記事提供元:テレ東プラス
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