飲食店の対応が後押し? ゴルフ場予約の「ドダキャン」で会員もキャンセル料支払いの対象に
ゴルフ場のスタート予約はキャンセルしてもおとがめなし。それがかつての「常識」だった。今もそうした認識を持つゴルファーは少なくない。実際、栃木県で3コースを保有する鹿沼グループのゴルフ場のように「キャディ付プレーを予約した方がキャンセルした場合は、キャディフィ(実費)を請求させていただいております。それ以外のキャンセル料は請求しておりません」(関係者の話)というゴルフ場が多いのも事実だ。
その裏事情について、ゴルフ場の関係者はこう明かす。
「ゴルフ場がいくつもある分母の大きい会社はいいでしょうけど、ウチのように(客が)入っていないところはなかなかね……。キャンセル料を取るなんて言えば『もう来ない』っていう話だったから」とため息をついて、さらにこう続けた。
「近くのゴルフ場にお客を取られちゃうとなれば踏み切れない。またどうやってキャンセル料を徴収するのか、という問題もありました」
だがそんな常識が、ここに来て一気に崩れそうな雲行きだ。国内最多の173ゴルフ場を運営していたアコーディア・ゴルフを傘下に入れ、それまで子会社のPGMが保有していた148のゴルフ場と合わせて、321(ほか1コースはリース)と世界一のゴルフ場保有会社になった平和が、「ドタキャン」に料金を課す方向へと大きく舵を切っているからだ。
例えば、アコーディアの東千葉CCでは昨年11月11日からプレー前日まで無料だったキャンセル料を、プレー2日前から適用するようになったが、PGMではすでに10月1日よりビジターにキャンセルフィを適用し、今年からは会員も対象となっている。
日本ゴルフ場経営者協会(NGK)の大石順一専務理事は状況が変わってきた裏事情を、こう解説してくれた。
「『逸失利益』の問題があります。ある大手のゴルフ場さんは1週間前になってお客さんがいないと『○月○日はメンバーフィにします』ってやる。すると近隣のゴルフ場を予約していた3組とか4組のコンペがキャンセルしてそこに流れてしまう。会員の方も『今日はいっぱいですから』って断られていたのにもかかわらず、実際にはスタート枠がストーンと抜けていたとなれば、会員とのトラブルが結構起きてきます」
予定されていた4組の利益が1週間前に失われてしまう。コース側としてもその枠に再度新たな予約を獲得するのは至難の業。結果、あてにしていた利益が「逸失」するのだから、たまったものではない。
大石理事も「ウェブサイトのような人間の接触がない予約システムには、義理も人情もないから簡単にキャンセルできる。予約が入りやすくなって良かったという面もあれば、マイナスの面も出てきます」とため息をつく。
一方で飲食業がキャンセル料を取るようになってきたことも大きい。
「飲食業も予約を入れておいて、待てど暮らせど来ないっていうのが多い。結局登録をさせて当日無断キャンセルだとキャンセル料を取るようになって、かなり実績を上げています。それからゴルフはコロナ禍でプチバブル的に賑わったので、風潮が変化してきているんだと思います」
ゴルフ場はスタート枠を売っているのに、多くのゴルファーたちからは「その枠に商品価値はない」と思われてきた。そのため安易にキャンセルされていた側面もあるわけだ。大石理事は「『でもその枠はお金なんだ』という風土をきちんと整えていこうという試みの一つなんだと思いますから、決して悪いことではないのでは」と締めくくった。(日本ゴルフジャーナリスト協会会長・小川 朗)
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