望まぬ妊娠に直面した20歳の女性 郊外で診療所を営む母に診てもらう 「石門」場面写真
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2025年2月28日より劇場公開される、“中華圏のアカデミー賞”と称される第60回台北金馬獎で、日本資本の映画として初めて「最優秀作品賞」を受賞した映画「石門(せきもん)」から、新たな場面写真が公開された。
場面写真は、主人公のリン(ヤオ・ホングイ)が、妊娠の影響による胸の痛みを、郊外で診療所を営む母に診てもらう場面。フライトアテンダントを目指すリンは、予期せぬ妊娠と恋人との別れ、そして、死産の責任を追及されて賠償金を迫られる母への仕送りに頭を悩ませていた。胸の痛みを訴えるリンを診る母は、進学させたにも関わらず妊娠した娘をしかり、堕胎薬を飲むことを進めるが、中絶を望まないリンは、賠償金の代わりに子どもを差し出すことを提案する。
2人が死産となった母親の従兄である男性に取引を持ち掛けると、赤ん坊の父親の身長や学歴をつぶさに確認され、赤ん坊の心身の健康と、知能指数の高さを確かめるためにリンたちが1年面倒を見ることを条件に提示される。しかし、出産後は大学に戻りたいリンと、診療所の仕事がある母は厳しい条件だった。
妊娠期間と同じ10カ月をかけて撮影された「石門」では、主人公のリンを通して、女性の前に立ちはだかる石のように重い扉を描き出す。望まぬ妊娠と出産によって学校や仕事を中断せざるを得ず、元の進路に戻るため、出産後はすぐに大学に戻ろうと考えるリン姿がその一例として提示される。
「石門」は、望まぬ妊娠に直面した20歳のリンを主人公に、女性の前にあるさまざまな壁を静かに見つめた作品。監督は、中国湖南省出身のホアン・ジーと東京出身の大塚竜治。中国と日本を拠点に活動する夫妻は、女性の性に関する問題をテーマに映画を共同制作してきた。これまでに、封建的な湖南省の農村で出稼ぎをする両親と離れて抑圧された生活を送る14歳の少女を描いた「卵と石」のほか、学校で没収されたスマホを売ったことで見知らぬ男たちと知り合うことになる16歳の少女を追った「フーリッシュ・バード」を送り出している。「卵と石」「フーリッシュ・バード」に続き、ヤオ・ホングイが主人公のリンを演じている。
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【作品情報】
石門
2025年2月28日(金)より新宿武蔵野館、シネスイッチ銀座、シネリーブル池袋ほか全国順次公開
配給:ラビットハウス
©YGP-FILM
記事提供元:映画スクエア
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