『劇映画 孤独のグルメ』謎の米兵・ダニエル役が話題!マイケル キダの素顔
『コンフィデンスマンJP』の執事・バトラー役が話題となり、現在公開中の『劇映画 孤独のグルメ』に、謎の米兵・ダニエル八田役(以下、ダニエル)で出演。SNSでも、「ダニエルがめっちゃツボ」「『孤独のグルメ』ダニエル回を作ってほしい」「ダニエルって何者?」などの声が上がり、大きな旋風を巻き起こしているのが、俳優のマイケル キダだ。
【動画】“孤独のグルメ”が世界へ!劇映画公開記念&韓国の幻の名店一番乗りの旅
「テレ東プラス」は本人を取材することになったが、呼ばれたのは、神奈川・葉山の山奥に広がる畑? 自らを「芸農人」と呼ぶが、マイケル キダとは何者なのか……その素顔に迫った。
松重さんが時間と労力をかけて作った作品なので、評判がいいのがすごく嬉しい
俳優、モデル、サーファー、DIY、料理……と、さまざまな才能を発揮し、日本でマルチに活動するマイケル キダ。俳優業の傍ら、会員制のコミュニティ畑「GrowHayama」を運営し、農作業の素晴らしさを伝えている。
この日、マイケルに呼ばれて向かった先は、葉山町の山奥。爽やかな笑顔で迎えてくれた彼に「映画、評判ですね!」と伝えると、「友人から毎日のように『観たよ。マイケルのシーンでみんな笑ってたよ』と連絡が入ります」そう教えてくれた。ちょっぴり照れくさそうに笑う姿が印象的だ。
彼が運転する軽トラに乗り込み、山道をガタゴトと走ること10分……目の前に広がったのはこちらの畑。約3000坪の土地を借り受け、なんと自分自身の力と知識を駆使してここまで開墾した。常時、無農薬野菜300種類を育て、農業スクールも開講。自ら育てた野菜をマルシェで売ることもあるという。
大学で心理学を勉強した後、韓国で英語教師として働いていたマイケルは、旅行で日本へ。
初めて降り立った東京…煌びやかな街並みから一歩脇道に足を踏み入れると、昭和レトロな風景が広がる街の雰囲気に一目惚れし、「次はここに住みたい」と感じたそうだ。
半年後、待ち望んだ日本へ。
「東京では、銀座や六本木のような眩さよりも、神田や新橋、ゴールデン街といったエリアの雰囲気が気に入りました。でも、東京に住み始めて1カ月も経たないうちに、人生のターニングポイントとなる転機が訪れたんです。葉山のインターナショナルスクールに採用され、運命に導かれるように小さな海辺の町に住むことになりました。
当初、日本の滞在は1年間の予定でしたが、新しい土地に安らぎを感じ、もっと長く住むことにしました。なぜ日本での生活が好きなのかと聞かれたら、私は“コミュニティ”と答えます。
旅行した時に感じた日本人の第一印象は“おもてなし”でしたが、コミュニティで地元の人たちと繋がるにつれ、さらに日本文化の奥深さを感じるようになりました。日本の地域のコミュニティには、他の国では感じたことのない温かさと安心感がある。それは私を満たしてくれて、夢を追いかけ、チャンスをつかむ勇気を与えてくれました。これが、私が“俳優”という夢を追いかけることができた大きな理由です。すべてはこのコミュニティのおかげ。
そして今でも、『孤独のグルメ』が公開されると、毎日のように『映画を観たよ』『楽しみにしているよ』と、仲間からメッセージが届きます。それは、僕にこの仕事へのやりがいを感じさせてくれますし、大きな力になっています」
現在公開中の『劇映画 孤独のグルメ』で彼が演じるダニエルは、謎多き人物。監督、脚本、主演を務めた松重豊がマイケルをイメージしながら作り上げたキャラクターが光り、劇場では、ダニエルの登場が大きな笑いを生んでいた。
「松重さんと『コンフィデンスマンJP』で共演したのは、今から4年前。僕が現場にコーヒーを持っていき、皆さんに配っていたら、たまたま隣に松重さんがいたんです。元々『孤独のグルメ』の大ファンだったんですけど、その時の松重さんはグレイヘアだったので、まったくあの五郎さんだとは気づかなくて。でも、松重さんがコーヒーを飲んで『風味がいいね』と言ってくださった時に声で気づいて、そこで葉山のお話を少しだけさせていただきました」
松重とは、そこからさらなる“縁”が続いていく。
「1年半くらい経った頃、今度は『カムカムエヴリバディ』の現場でまた共演させていただいたんです。でもその時は、エキストラさんも含めて大勢の人がいたので、僕は松重さんに一言だけ『今日もよろしくお願いします!』と伝えました。そうしたら、松重さんがわざわざ振り返って、『今日も葉山から?』と聞いてくださったんですよ! まず、僕のことを覚えていたことにビックリしました。
その頃、ちょうど僕の自己啓発本が発売されたこともあり、松重さんに本を送ったら、素敵なコメントをいただいて、今度は松重さんのラジオ番組で宣伝させていただくことになったんです。本当に優しい方……その時にすごくよく分かったんです、松重さんの優しさが。
そんな交流もあり、2022年のクリスマスに、僕が育てたしょうがやはちみつなどを詰めた“風邪予防セット”を送ったところ、松重さんから『新しい話があるんだけど、良かったら相談させてもらえませんか? 役はもちろん畑についても、良かったら使わせてもらえないか』と連絡をいただきました。その時はもう飛び上がりたいほど嬉しくて、『何でもやります!』と。映画の現場は想像をはるかに超えて楽しかったので、本当にありがたいです」
好評を得ているダニエル役は、松重監督ならではの演出が光り、生まれた賜だと熱く語る。
「映画は一昨年の秋に撮影しましたが、今回松重さんは監督でもあったので、周囲をすごく見ていると感じました。自分が良く映るだけではなく、みんなのいいところが出るようにすごく考えている方。俳優の気持ちを分かっていらっしゃるのですべてがやりやすいし、安心。みんなのパートを見ながらいろいろ直したり、時には伝えたり……ベテランですし、頭の回転が早い方。
僕は今回2人のシーンが結構あって、松重さんのアドバイスでブラッシュアップできましたし、お芝居がどんどん上手になりました。松重さんのアドバイスに従うと、お芝居が自然になって良くなるんです。松重さんのアドバイスがなかったら、あのダニエルになっていないと思います。
物語の後半、男4人で小さな車に乗るシーンがあり、松重さんに作ってもらったセリフがあるんですけど、僕、普段はあまり怒鳴ることがないので……そこは頑張って、荒々しく演じました。でもちょっとだけ、気持ちが良かったかも(笑)」
▲マイケルがDIYで作った味わい深いこの小屋、手前にあるコーヒーカップも映画の中で登場!
マイケルが演じるダニエルの活躍はぜひ劇場で! 2月1日(土)正午に公開するインタビュー後編では、マイケルのファームライフ、素敵な人生のつくり方について話を聞く。
【マイケル キダ プロフィール】
1979年9月23日生まれ。ニューヨーク州出身。俳優、モデル、タレント、農業従事者として幅広く活動。26歳の時に神奈川県三浦郡葉山町に移住し、オーガニック野菜を作り始める。
「コンフィデンスマンJP」シリーズ、「カムカムエヴリバディ」、「おかしな刑事 年忘れ!!大感謝スペシャル」、「フェンス」など、多数出演。主演映画「永遠の1分。」(2022年)、著書に「Do It Your self-自分の人生のつくりかた-」(飛鳥新社)も。
俳優業の傍ら、会員制のコミュニティ畑「GrowHayama」を運営し、農作業の素晴らしさを伝えている。
<映画紹介>
劇映画 孤独のグルメ
監督:松重 豊
脚本:松重 豊/田口佳宏(「孤独のグルメ」シリーズ)
出演:松重 豊/内田有紀/磯村勇斗/村田雄浩/ユ・ジェミョン(特別出演)/塩見三省/杏/オダギリジョー
制作:共同テレビジョン/FILM
主題歌:ザ・クロマニヨンズ「空腹と俺」
HP
(取材・文/蓮池由美子)
記事提供元:テレ東プラス
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。