京成電鉄の新型車両「3200形」報道公開 フレキシブルな仕様や車両デザイン、運用についてお伝えします
京成電鉄は24日、千葉県印旛郡酒々井町の宗吾車両基地で新型車両「3200形」を報道陣に公開しました。
2019年に導入された3100形以来5年ぶりの新車となる3200形は、『人や環境にやさしいフレキシブルな車両』をコンセプトとしています。2両単位で編成両数を変更できる仕様で、繁忙期なら8両、閑散期なら4両で運行するといった具合に状況にあわせた運用が可能です。
空港路線を抱える京成電鉄にとって、昨今のインバウンド需要への対応は喫緊の課題です。一方でリモートワークの普及や少子高齢化による沿線人口の減少も視野に入れる必要があり、ただ輸送力を増強するだけでは輸送需要の変化に応じきれません。3200形のフレキシブルな仕様は、こうした需要変動リスクへの対応や環境負荷の低減を意図したものです。
京成車両の伝統的なカラーリングを踏襲した外観
3200形は京成電鉄と車両メーカーが共同でデザインしています。エクステリアは京成車両の伝統的なカラーリングを踏襲し、車体を赤と青に塗り分けました。
注目したいのは車両の顔。すでに発表済みの内容ではありますが、正面貫通扉は連結運転時にいつでも通り抜けができるよう、車両の中央に配置されています。
前照灯は3100形に引き続き、後部標識灯・急行灯を一体型とし、デザイン性を追求した形状です。LEDは他に車外行先表示器、客室内照明にも採用されており、省エネに貢献します。
なお、3200形はハイブリッドSiC素子を適用したVVVFインバータ制御装置を搭載しており、消費電力は主な代替対象である3500形と比較して69%ほど削減されるそうです。
シートに東京と千葉の花をあしらったデザイン
車内デザインはご覧の通り。シートの柄は日本を代表する「ソメイヨシノ」と「なのはな」をモチーフとしており、東京と千葉の県花(都花)をあしらうことで京成電鉄が運行する地域を想起させるデザインです。車両間の仕切り扉には衝突防止対策としてシートデザインと同じ柄のフィルムが貼り付けられていますが、こっそり「京成パンダ」が隠れています。
従来車両の違いとして、乗務員室背後の二人掛け座席はなくなり、代わりに手すりを兼ねた腰掛けを入れています。このほか先頭車にはバリアフリー対応として車いすスペースを、中間車にスーツケースなどの大型荷物やはベビーカーを持ち込んでも利用しやすいようフリースペースをそれぞれ設けています。
車内設備としては、1両に4台空気浄化装置(プラズマクラスターイオン発生装置)を設置。車内案内表示器は2画面一体型の17インチワイドLCD(液晶)で、停車駅や乗換案内などを4か国語で表示します。
安全性の向上、非常通話装置を初めて設置
3200形には同社として初めて「非常通話装置」が搭載されています。列車内で異常事態が発生した際に乗客がボタンを押せば乗務員に異常を知らせることができ、双方向間での通話も可能です。乗務員室では、上部に設置されたディスプレイで、客室内の防犯カメラ映像を確認することができます。
3200形の運用は?
3200形は現時点では6両しかないため、当面は京成本線や千葉線の普通列車などで運用していく形になります。今後の運用については、両数が増えれば8両の優等列車や他社線(地下鉄)直通運用に入る可能性もあるとのこと。
なお、同社は2025年4月に新京成電鉄との合併を控えており、現行の新京成線は京成電鉄「松戸線」となります。新京成線で走る車両も今後引退していくことになりますが、その際は80000形ではなく3200形による置き換えで対応していく予定です。
記事:一橋正浩
記事提供元:鉄道チャンネル
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