日本有数の映画ガイド・高橋ヨシキが『トワイライト・ウォリアーズ 決戦!九龍城砦』をレビュー!
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香港が中国に返還されてから既に27年も経つ。かつての香港映画でおなじみの、超低空飛行で街並みに突っ込んでいくかのような着陸で知られる香港啓徳空港も姿を消し(筆者もその着陸を体験したことがあるが、本当に信じられない角度で街に突入していく感覚に驚愕した)、「魔窟」という言葉では言い表せない威容を誇った九龍城砦も解体された。
本作はその九龍城砦を舞台に、過去の遺恨と友情、バイオレンスと人情が炸裂する文字通り「てんこ盛り」の一本で、往年の「香港映画」のエッセンスが凝縮されていると同時に、21世紀にふさわしい形にブーストアップされている。
とある事情で九龍城砦に逃げ込んだ移民の主人公の目を通して、外部からは「魔窟」にしか見えない九龍城砦内部の生活と人情が描かれていく過程にも引き込まれるし、アイコニックで複雑怪奇な城砦内部を再現したすさまじい美術セットの数々にも目を奪われる。
アクション監督の谷垣健治氏が手掛けたバトルシーンもリアリズムとファンタジーの間にたゆたう「香港映画感」を全力で表現していて素晴らしい。本作はかつての香港、かつての香港映画をファンタジーとして脱構築した見果てぬ夢なのだ。
STORY:1980年代、香港へ密入国した若者は、黒社会のルールを拒んだために組織に目をつけられる。逃げ込んだ九龍城砦で彼は仲間と出会い、友情を育む。そして彼らは九龍城砦を巻き込んだ命懸けの戦いに挑むことになる
監督:ソイ・チェン
出演:ルイス・クー、レイモンド・ラム、テレンス・ラウほか
上映時間:125分
全国公開中
記事提供元:週プレNEWS
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