【サッカー日本代表 板倉 滉の「やるよ、俺は!」】第30回 今年もやるよ、俺は! いざW杯出場とブンデス上位へ
第13節・ドルトムント戦(1-1)で勝ち点獲得に大きく貢献した板倉
来年開催される北中米W杯本大会への切符をかけて、準備万全の板倉 滉。所属先のドイツ1部・ボルシアMGでも攻守で存在感を放ち、欠かせない存在に。さらなる飛躍を誓う日本のDFリーダーに2025年の抱負を聞く!
■W杯最終予選、長友選手に言われて2025年は、気持ちが高ぶるようなイベントが多く控えている。まずは3月20日に行なわれる北中米W杯最終予選のバーレーン戦だ。このホームゲームに勝てば、残り3戦の結果を待たず、リーグC組で2位以内が確定、W杯出場を決めることができる。
この試合で出場を決められなかったとしても、次のサウジアラビア戦(3月25日)もホームゲームなので、長距離移動やアウェーの過酷な環境といった、よけいなストレスを感じることなく戦える。これは僕らにとって非常に大きなアドバンテージだ。地の利を生かして勝ち切りたい。
昨年の9月から始まった最終予選では、6試合すべて先発フル出場で戦ってきた。戦績は5勝1分けで、22得点2失点。大一番をホームで迎えられるのはまさに理想的な流れだ。W杯に4度も出場しているDFの(長友)佑都さんも「こんなにスムーズに進む最終予選なんて、今までなかったぞ」と言ってくれている。
だからこそ、これまでどおりしっかりと緊張感を持って試合に臨むつもりだ。少しの緩みが失点を生み、敗北につながるのは昨年2月のアジア杯・イラン戦で懲りている。満員になるであろう埼玉スタジアムで、声援を送ってくれるサポーターの皆さん、テレビ越しに応援してくれる皆さんとW杯出場の喜びを味わいたい。
それは日本代表メンバー全員とも話している。「3月のホームゲームで絶対に出場を決めてやるぞ」と。
■移籍の噂に対して今、伝えたいこと所属先のボルシアMGでも、リーグ開幕戦からの15試合すべてに先発フル出場させてもらっている。代表と並行して出ずっぱりなのでハードだけれど、疲労やケガ対策は怠らず、しっかりと調子をキープしていきたい。
昨シーズンは勝ち点がなかなか取れず、終盤では残留争いに巻き込まれてしまった。選手個人のパフォーマンスなどというよりも、チーム全体のメンタルの保ち方が非常に難しかった。
それに比べて、今シーズンは経験豊富なMFのシュテーガーやサンダーが加入。技術はもちろんだが、苦しい試合でもしっかり体を張ったプレーで、チームを助けてくれている。若手のMFライツの成長ぶりも目覚ましい。
そして、何よりも大きな違いはFWクラインディーンストの存在だ。彼が加入したことで、ゴール数も含め、攻撃面が劇的に変わった。前線からの守備でも積極性を見せて、ハードワークをいとわない。
日々の練習も真摯に取り組み、意識が非常に高い。ドイツ代表にも招集されており、そこでも結果を出しているので、自信に満ちあふれている。そのエネルギーがチームの皆にも伝わり、ポジティブな雰囲気がつくられている。普段から、彼とはよく話をして仲良くさせてもらっているが、性格も申し分ない。実に頼もしい限りだ。
今季はチーム全体の守備意識が高く、コンパクトにやれているので、局面によってはドリブルで運ぶとか、ゴールを狙うといったチャンスが僕にも広がっている。もちろん、23年に受けた足首の手術から順調に回復していき、今はケガが完治したことで良いコンディションが維持できているという理由もある。
本業の守備面では、対人での強さをもっと極めていきたい。例えば、第13節ドルトムント戦でマッチアップした、絶好調のゴールハンター、FWギラシを封じ込めた経験は、非常にやりがいを感じたし、自信につながった。結果は1-1のドローで勝つことはできなかったが、それでも泥くさく勝ち点1をもぎ取ることができた。ああいった粘りのある試合を毎回心がけていきたい。
DFへの評価というのは難しいもので、僕個人としては手応えを感じていても、チームが負ければ、評価は下がる。逆に自分がイマイチ動けなかったと感じても、チームが勝てば一定の評価がされる。
つまり、チームの勝敗によって、評価が左右されるといっていい。なので、正直なところ評価はそこまで気にしていない。チームを勝利に導くためにベストパフォーマンスを見せていれば、おのずと結果もついてくるはずだ。
評価の話でいうと、移籍の噂が報道されているのはよく知っている。もちろん、ゆくゆくはステップアップを図るためにビッグクラブに挑戦したいという気持ちに変わりはない。
だが、今はボルシアMGで監督やスタッフから信頼を得て全試合に出場、充実した毎日を送っている。おかげさまで、ウインターブレイク前の第15節ではアウェーのホッフェンハイム戦にも勝利、いよいよEL(ヨーロッパリーグ)出場権が得られるリーグ5位以内が見えてきた。このままリーグ上位へ食い込み、順位を維持することを目指して、ひたすら頑張っていきたい。
ライフワークである社会貢献活動のKCP(Ko Creation Project)も、今年はより大きなスケールで展開していく予定だ。子供向けのサッカーイベントを開催し、その地の特産品や食文化を発信することによる地方創生は、昨年開催した石川県・長野県イベントと同じく、注力したいと思っている。
とにかく、今年の板倉 滉はさらにもう一段階上をゆくので、乞うご期待!
板倉滉
構成・文/高橋史門 写真/アフロ
記事提供元:週プレNEWS
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。