【初心者必見】中高年が登山を始める上で<注意すべき4カ条>
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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▲提供:鈴木みき
「登山に興味はあるけど、体力的に無理かも」「登れなくなる前に、山に登っておきたい!」そんな思いを抱える中高年は多いはず。どうすれば、中高年の初心者でも山に登れるのか? そんな疑問に答え、導いてくれる『知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山』(講談社)をはじめ、多くの書籍を出版しているイラストレーター・鈴木みきさんに、山に登りたい中高年へのアドバイスと「注意すべき4カ条」を聞きました。
【動画】アジフライ定食、炒飯、餃子…山を下りた後に食べたいグルメが満載!「下山メシ」
――自分でも不思議なのですが、年を重ねるにつれ、山登りに対する憧れを抱くようになりました。山登り未経験、運動から遠ざかっている50代の人でも、登山を始めることはできるのでしょうか。
「もちろん大丈夫です。皆さん、登山にハードなイメージを持っていらっしゃるのかもしれません。登山=高い山に登る、雪山を想像する人って、実はものすごく多いんですよね私が考える山登りは、どんな山を歩いてもいい。山って低くても、だいたい盛り上がっているので、どうしても登ったり下ったりするものなんですよ。それはもう山登りと呼んでいいと私は思います。
昔は、2000m、3000m級の山に登らないと登山じゃないという人もいましたが、今はそうではなく、厳しい登山をする人もいるし、トレッキングやハイキングを楽しむ方もいる。高い所に登るというより、水平移動をするような感じで山を旅する人もいます」
――低い山であれば、運動しやすい格好でリュックを背負って行けばいいのかな? と思いましたが、どんな心構えが必要でしょうか。
「選ぶ山にもよりますが、階段を上れる人なら、山は普通に登れます。家の近所にあるような小さな山であれば、それほど難しくはありません。
“一度登り始めたら、絶対に頂上まで行かなくちゃいけない”というわけではなく、例え頂上まで登れなくても、“今日は無理”と途中でやめて帰ってきてもいいと思います。近くの山ならいつでも行けますし、“次はもう少し先まで行こう”という目標を持てばいい。そうすることで、次の山登りに向けて“エスカレーターやエレベーターではなく階段で行こう”“一駅歩いてみよう”というマインドを持てるようになるので。
そしてそんな日々の小さな努力が、次に登った時“前回よりも上まで行けた”“3回目で頂上まで登れた”となっていきます。私は、必ずしも頂上を踏むのが登山の目的ではないということを伝えてきました。高い山に登ることだけがすごいわけではないと思っています」
――誰でも、住んでいる家の近くに登れる山があるということでしょうか?
「47都道府県、必ずどこかに山はあります。有名な山じゃなくても、山頂らしい山頂がなくてもよくて、少し盛り上がっている丘に登ってみる、散策路や遊歩道を歩くとか、散歩の延長線上のイメージでいいと思います。私が住んでいる町は、見える範囲に山はないんですけど、電車で小一時間足をのばして、有名な高尾山のある八王子方面や観光地・鎌倉まで行けば、山があって歩けます。知らないだけで、皆さんの身近に歩くコースはたくさんあります。
市や町のサイトを見ると、神社の周辺を歩くコース、川のほとりを歩くコースといった歩き方のガイドが見つかりますよ。私は、自然の中で歩く=山歩きだと捉えています」
▲提供:鈴木みき
【鈴木さんがナビ!中高年が登山を始めるにあたって注意すべき4カ条】
その1:自分が中高年であることを認める。
「特に運動経験がある人だと、当時の記憶のまま“自分は登れる、大丈夫”と思ってしまいがちです。しばらく体を動かしていなくてブランクがあるなら、自分の思い通りに体は動かないと思った方がいいでしょう。10年前は山に登れたという人も、“今の自分が登れるかは分からないな”と、自分を疑ってみることが必要です。
例えば階段を上ってみて、自分の体の具合を意識する。ちょっときつい、下りが怖い、次の日だるいとか、自分の感覚を確かめてみてください。とは言え、体力がないとできないわけではなく、ないなりにやればいいのが登山です」
その2:金にものを言わせる。登山靴、靴下、肌着など道具にお金をかける。
「自分の安全のため、ストレス軽減のためにお金を使ってください。例えば、行き帰りの電車を特急にする、バスや電車の時刻表を確認するのが苦手な人はタクシーを使ってアクセスする。ガイドさんを雇う、ツアー登山に参加するのもいいでしょう。
登山靴、肌着上下、レインウエアは、そのおかげで命が助かることもあるぐらい大切なので、惜しみなくお金をかけていただきたいですね。登山用は、ホームセンターでも買えるスポーツ用やキャンプ用とはちょっと違って、より機能性が求められるので、専門店で揃えることをおすすめします。『石井スポーツ』『好日山荘』『モンベル』は全国で店舗数が多く、探しやすいでしょう。チェーン店ではなく、地元に密着している登山用品店も結構あります。
登山靴に関して言うと、ごついものというイメージがあると思いますが、今は軽いものに進化しています。初心者は、オールマイティーに使える軽登山靴やトレッキングシューズを選びましょう。店員さんに相談して、靴下と靴を併せてフィッティングさせてもらうのもいいですね。もし決まっていれば、登る山も伝えると、いいアドバイスがもらえますよ」
PIXTA
その3:準備運動に時間をかける。
「登山の予定を決めたら、自分の体力を知る時間を取ることをおすすめします。年を重ねた分、瞬発力や反射神経は落ちています。普段の生活でエレベーターやエスカレーターを使わず、階段を上り降りするのもいい運動になりますし、意外と下るのに瞬発力が必要で、足の出し方もトレーニングになります。自分の体力を知るためにも、最低1カ月ぐらい準備運動に時間をかけてみてください。そうした積み重ねが自信につながります。
山登りはメンタルが重要です。“これだけ準備したから大丈夫! 私は1カ月頑張った”という自信を持って臨めば、登っている間も余裕が生まれます」
その4:登山計画を家族・友人に必ずシェアする。
「これは安全登山の第一歩で、もしも何かあった場合、登山計画を誰にも知らせていなかったら、探すことができません。“何月何日何時から、どの山のどの登山口から登って、どの登山口に降りる。何時ぐらいに帰る”ということを、家族や友人にシェアしておきましょう」
――登山靴、靴下、肌着、レインウエアの他、持っていくべきおすすめグッズはありますか?
「私がお伝えする登山における“三種の神器”は、レインウエア、ヘッドライト、肌着です。肌着の代わりに登山靴という方もいます。また、これからとても寒くなるので、使い捨てカイロは持って行った方がいいでしょう。女性の体は脂肪が多くて筋肉量が少ないため、動いても自分から発熱する力が弱いのです。脂肪で熱を温存するためにも、カイロを握りしめる、外から温めることが必要になります。
首元を温めるネックウォーマーやマフラー、手首・足首を温める手袋やレッグウォーマー、腹巻きで防寒する方も多いです。中に着込んでしまうと、暑くなった時に脱ぎ着が大変。手袋やレッグウォーマーなら、暑かったら取ればいいし、寒かったら着ければいいので、調整しやすい防寒小物はとても重要です」
――初心者は、心配から荷物が増えてしまいそうですが、やはり少なめにした方がいいのでしょうか?
「本でも登山の基本装備を書かせていただきましたが、とりあえずはその基本装備だけ持っていけばいいと思います。と言っても心配で、それ以上のものを持っていくと思うのですが、回数を重ねるうちにいらない物が分かってきて、荷物もだんだん洗練されていくでしょう。ただ、荷物は軽い方が体は楽です。今の登山の道具はとても軽くできているので、基本装備をどれだけ詰めても、そんなに重くなりません。
中高年の登山ビギナーは、身構えず気楽に、自分を知って甘い見通しをせず、計画的に。近所で登れる山を検索して基本装備を揃え、今までより意識して階段を上るトレーニングを重ねる。最後に家族や友人に登山計画を伝えて、山へGO! 皆さんぜひ、チャレンジしてみてください」
▲『知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山』(講談社)
【鈴木みき プロフィール】
1972年東京生まれ。イラストレーター、執筆家。山小屋のアルバイトや山雑誌での読者モデルを経てイラストレーターに。自らの登山経験を描いたコミックエッセイを発表し人気を集め、登山同行ツアーや講演など幅広く活躍している。2017年から北海道札幌市在住。2018年の北海道胆振東部地震での在宅避難経験を機に、防災士の資格を取得した。著書に『日帰り登山のススメ あした、山へ行こう!』『地図を読むと、山はもっとおもしろい!』(ともに講談社)、『中年女子、一人で移住してみました:仕事・家・暮らし 無理しすぎない田舎暮らしのコツ』(平凡社)、『キャンプ気分で始める おうち防災チャレンジBOOK』(エクスナレッジ)など多数。
(取材・文/伊沢晶子)
「登山に興味はあるけど、体力的に無理かも」「登れなくなる前に、山に登っておきたい!」そんな思いを抱える中高年は多いはず。どうすれば、中高年の初心者でも山に登れるのか? そんな疑問に答え、導いてくれる『知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山』(講談社)をはじめ、多くの書籍を出版しているイラストレーター・鈴木みきさんに、山に登りたい中高年へのアドバイスと「注意すべき4カ条」を聞きました。
【動画】アジフライ定食、炒飯、餃子…山を下りた後に食べたいグルメが満載!「下山メシ」
身近に登れる山はいっぱいある!
――自分でも不思議なのですが、年を重ねるにつれ、山登りに対する憧れを抱くようになりました。山登り未経験、運動から遠ざかっている50代の人でも、登山を始めることはできるのでしょうか。
「もちろん大丈夫です。皆さん、登山にハードなイメージを持っていらっしゃるのかもしれません。登山=高い山に登る、雪山を想像する人って、実はものすごく多いんですよね私が考える山登りは、どんな山を歩いてもいい。山って低くても、だいたい盛り上がっているので、どうしても登ったり下ったりするものなんですよ。それはもう山登りと呼んでいいと私は思います。
昔は、2000m、3000m級の山に登らないと登山じゃないという人もいましたが、今はそうではなく、厳しい登山をする人もいるし、トレッキングやハイキングを楽しむ方もいる。高い所に登るというより、水平移動をするような感じで山を旅する人もいます」
――低い山であれば、運動しやすい格好でリュックを背負って行けばいいのかな? と思いましたが、どんな心構えが必要でしょうか。
「選ぶ山にもよりますが、階段を上れる人なら、山は普通に登れます。家の近所にあるような小さな山であれば、それほど難しくはありません。
“一度登り始めたら、絶対に頂上まで行かなくちゃいけない”というわけではなく、例え頂上まで登れなくても、“今日は無理”と途中でやめて帰ってきてもいいと思います。近くの山ならいつでも行けますし、“次はもう少し先まで行こう”という目標を持てばいい。そうすることで、次の山登りに向けて“エスカレーターやエレベーターではなく階段で行こう”“一駅歩いてみよう”というマインドを持てるようになるので。
そしてそんな日々の小さな努力が、次に登った時“前回よりも上まで行けた”“3回目で頂上まで登れた”となっていきます。私は、必ずしも頂上を踏むのが登山の目的ではないということを伝えてきました。高い山に登ることだけがすごいわけではないと思っています」
――誰でも、住んでいる家の近くに登れる山があるということでしょうか?
「47都道府県、必ずどこかに山はあります。有名な山じゃなくても、山頂らしい山頂がなくてもよくて、少し盛り上がっている丘に登ってみる、散策路や遊歩道を歩くとか、散歩の延長線上のイメージでいいと思います。私が住んでいる町は、見える範囲に山はないんですけど、電車で小一時間足をのばして、有名な高尾山のある八王子方面や観光地・鎌倉まで行けば、山があって歩けます。知らないだけで、皆さんの身近に歩くコースはたくさんあります。
市や町のサイトを見ると、神社の周辺を歩くコース、川のほとりを歩くコースといった歩き方のガイドが見つかりますよ。私は、自然の中で歩く=山歩きだと捉えています」
▲提供:鈴木みき
【鈴木さんがナビ!中高年が登山を始めるにあたって注意すべき4カ条】
その1:自分が中高年であることを認める。
「特に運動経験がある人だと、当時の記憶のまま“自分は登れる、大丈夫”と思ってしまいがちです。しばらく体を動かしていなくてブランクがあるなら、自分の思い通りに体は動かないと思った方がいいでしょう。10年前は山に登れたという人も、“今の自分が登れるかは分からないな”と、自分を疑ってみることが必要です。
例えば階段を上ってみて、自分の体の具合を意識する。ちょっときつい、下りが怖い、次の日だるいとか、自分の感覚を確かめてみてください。とは言え、体力がないとできないわけではなく、ないなりにやればいいのが登山です」
その2:金にものを言わせる。登山靴、靴下、肌着など道具にお金をかける。
「自分の安全のため、ストレス軽減のためにお金を使ってください。例えば、行き帰りの電車を特急にする、バスや電車の時刻表を確認するのが苦手な人はタクシーを使ってアクセスする。ガイドさんを雇う、ツアー登山に参加するのもいいでしょう。
登山靴、肌着上下、レインウエアは、そのおかげで命が助かることもあるぐらい大切なので、惜しみなくお金をかけていただきたいですね。登山用は、ホームセンターでも買えるスポーツ用やキャンプ用とはちょっと違って、より機能性が求められるので、専門店で揃えることをおすすめします。『石井スポーツ』『好日山荘』『モンベル』は全国で店舗数が多く、探しやすいでしょう。チェーン店ではなく、地元に密着している登山用品店も結構あります。
登山靴に関して言うと、ごついものというイメージがあると思いますが、今は軽いものに進化しています。初心者は、オールマイティーに使える軽登山靴やトレッキングシューズを選びましょう。店員さんに相談して、靴下と靴を併せてフィッティングさせてもらうのもいいですね。もし決まっていれば、登る山も伝えると、いいアドバイスがもらえますよ」
PIXTA
その3:準備運動に時間をかける。
「登山の予定を決めたら、自分の体力を知る時間を取ることをおすすめします。年を重ねた分、瞬発力や反射神経は落ちています。普段の生活でエレベーターやエスカレーターを使わず、階段を上り降りするのもいい運動になりますし、意外と下るのに瞬発力が必要で、足の出し方もトレーニングになります。自分の体力を知るためにも、最低1カ月ぐらい準備運動に時間をかけてみてください。そうした積み重ねが自信につながります。
山登りはメンタルが重要です。“これだけ準備したから大丈夫! 私は1カ月頑張った”という自信を持って臨めば、登っている間も余裕が生まれます」
その4:登山計画を家族・友人に必ずシェアする。
「これは安全登山の第一歩で、もしも何かあった場合、登山計画を誰にも知らせていなかったら、探すことができません。“何月何日何時から、どの山のどの登山口から登って、どの登山口に降りる。何時ぐらいに帰る”ということを、家族や友人にシェアしておきましょう」
山の寒さは要注意! 必須の防寒対策
――登山靴、靴下、肌着、レインウエアの他、持っていくべきおすすめグッズはありますか?
「私がお伝えする登山における“三種の神器”は、レインウエア、ヘッドライト、肌着です。肌着の代わりに登山靴という方もいます。また、これからとても寒くなるので、使い捨てカイロは持って行った方がいいでしょう。女性の体は脂肪が多くて筋肉量が少ないため、動いても自分から発熱する力が弱いのです。脂肪で熱を温存するためにも、カイロを握りしめる、外から温めることが必要になります。
首元を温めるネックウォーマーやマフラー、手首・足首を温める手袋やレッグウォーマー、腹巻きで防寒する方も多いです。中に着込んでしまうと、暑くなった時に脱ぎ着が大変。手袋やレッグウォーマーなら、暑かったら取ればいいし、寒かったら着ければいいので、調整しやすい防寒小物はとても重要です」
――初心者は、心配から荷物が増えてしまいそうですが、やはり少なめにした方がいいのでしょうか?
「本でも登山の基本装備を書かせていただきましたが、とりあえずはその基本装備だけ持っていけばいいと思います。と言っても心配で、それ以上のものを持っていくと思うのですが、回数を重ねるうちにいらない物が分かってきて、荷物もだんだん洗練されていくでしょう。ただ、荷物は軽い方が体は楽です。今の登山の道具はとても軽くできているので、基本装備をどれだけ詰めても、そんなに重くなりません。
中高年の登山ビギナーは、身構えず気楽に、自分を知って甘い見通しをせず、計画的に。近所で登れる山を検索して基本装備を揃え、今までより意識して階段を上るトレーニングを重ねる。最後に家族や友人に登山計画を伝えて、山へGO! 皆さんぜひ、チャレンジしてみてください」
▲『知っている山からはじめよう! 大人の日帰り登山』(講談社)
【鈴木みき プロフィール】
1972年東京生まれ。イラストレーター、執筆家。山小屋のアルバイトや山雑誌での読者モデルを経てイラストレーターに。自らの登山経験を描いたコミックエッセイを発表し人気を集め、登山同行ツアーや講演など幅広く活躍している。2017年から北海道札幌市在住。2018年の北海道胆振東部地震での在宅避難経験を機に、防災士の資格を取得した。著書に『日帰り登山のススメ あした、山へ行こう!』『地図を読むと、山はもっとおもしろい!』(ともに講談社)、『中年女子、一人で移住してみました:仕事・家・暮らし 無理しすぎない田舎暮らしのコツ』(平凡社)、『キャンプ気分で始める おうち防災チャレンジBOOK』(エクスナレッジ)など多数。
(取材・文/伊沢晶子)
記事提供元:テレ東プラス
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