福西崇史が今季のJ1リーグで特に印象に残った選手は?「川崎フロンターレの山田新は面白い存在」
印象に残った選手をフカボリ!
不動のボランチとしてジュビロ磐田の黄金期を支え、2006年開催のドイツワールドカップには、日本代表の中心メンバーとして出場。日本サッカーが世界水準へと飛躍していく瞬間をピッチの中央から見つめていた福西崇史。
そんな福西崇史が、サッカーを徹底的に深掘りする連載『フカボリ・シンドローム』。サッカーはプレーを深掘りすればするほど観戦が楽しくなる!
第114回のテーマは、今季のJ1で注目した選手。今季のJ1も残すところあと2節。優勝も降格も未だ決まらず、混迷を極めるJリーグ。そんな拮抗したシーズンの中で、印象的な活躍を見せた選手を福西崇史が解説する。
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■選手育成が広島の強み――今週末からJ1が再開となり、シーズンも残り2節となりました。未だ優勝争い、残留争いの行方はわからず、今季も力の拮抗したシーズンとなっています。そんな中で注目したチームや選手はいましたか?
福西 現在2位で優勝争いをしているサンフレッチェ広島ですね。ミヒャエル・スキッベ監督も3年目となって攻守に強度の高いチームを作り上げて、クラブ記録のリーグ7連勝も達成しました。
広島で注目選手といえば前線の加藤陸次樹や半年で移籍してしまいましたが大橋祐紀など、日本人FWが印象的な活躍を見せていたと思います。そんな中で松本泰志の成長は著しいですよね。攻撃に厚みを加える働きはまさにいぶし銀。途中加入のトルガイ・アルスランやゴンサロ・パシエンシア、川辺駿らの活躍が目立ちますが、今季の広島の中で彼の成長も非常に大きいと感じました。
――今季トップチームデビューを果たした中島洋太朗選手はいかがでした?
福西 広島OBの中島浩司さんの息子ですよね。ボールタッチに独特な柔らかさを持っていて、視野の広さやアイディアもあって、どこか髙萩洋次郎を彷彿とさせます。こういった若手がユースから上がってきて、しっかりと育てられるのは広島の強み、良さだと思いますね。
■次々と現れた右サイドバックの有望株――プロ2年目の中野就斗選手も非常に印象的な活躍を見せています。
福西 ここまでウイングバックやセンターバックなどで全試合に出場ですからね。今季のチームに欠かせない選手の一人に成長したと思います。
――同じサイドの若手でFC町田ゼルビアの望月ヘンリー海輝選手や柏レイソルの関根大輝選手が代表に呼ばれましたが、今季の広島の成績や彼の活躍ぶりを見て、中野選手もそろそろ代表に呼ばれてもいいのではという見方もあります。
福西 個人的にはまだ早いと思いますね。ただ、いまのような活躍を続ければ呼ばれる可能性は十分にあります。望月や関根も今シーズンは素晴らしい活躍をしていますが、それに加えてポテンシャルを評価されての招集だと思います。
望月はまだ粗い面も多くありながらあの高さ、身体能力は非常に魅力的です。サイドの選手であそこまでのポテンシャルはなかなかいませんよね。これからの成長が楽しみな選手の一人です。
――サイドバックの若手では鹿島アントラーズの濃野公人も注目の活躍ぶりです。
福西 DFでここまで9得点は驚異的だと思います。攻撃であれだけの能力を発揮して、守備も安定していてデビューシーズンとは思えない活躍です。こう考えると右のサイドバックには楽しみな若手がどんどん出てきていますよね。
■ついに覚醒した山田新――その他にも注目した選手はいますか?
福西 川崎フロンターレの山田新は面白い存在です。今季ここまで16得点と大きく結果を残しています。彼は10代の頃から評価の高い選手で昔から知っていますが、今季は大人になったというか、責任感や自信がついたことで一皮剥けたように感じますね。
――サイズは大きくないですが、力強いパフォーマンスを見せていますよね。
福西 そんなに大きくないけどフィジカルは強いし、スピードも抜群。そのポテンシャルはずっと評価されてきましたけど、才能が覚醒するまでにちょっと時間がかかったなという印象です。今季はそれがようやく開花しましたね。
――川崎としては苦しいシーズンとなりましたが、彼の成長はチームのポジティブな面ですよね。
福西 鬼木達監督の長期政権が今季で終わり、来季はどの監督が率いてどんなチームになるのかわからないですよね。ただ、今のフィジカルや得点感覚、自信があればどんなチーム状況の中でも活躍できると思います。それだけ今の山田のパフォーマンスは高いものがあります。今季はまだ2節残っていますが、来季もどんな若手が台頭してくるか楽しみですね。
構成/篠 幸彦 撮影/鈴木大喜
記事提供元:週プレNEWS
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