“日本の偉大な監督たちに影響を受けた”。特集迫るベット・ゴードンよりメッセージ動画到着
アメリカのインディペンデント映画の先駆者の一人であり、《セクシュアリティ》《欲望》《権力》をテーマに大胆な探求と創作を行なってきたベット・ゴードン。その初長編「ヴァラエティ」(1983)、中編「エンプティ・スーツケース」(1980)、短編「エニバディズ・ウーマン」(1981)を上映する特集〈ベット・ゴードン エンプティ ニューヨーク〉が、11月16日(土)より渋谷シアター・イメージフォーラム、12月7日(土)より大阪シネ・ヌーヴォほか全国で順次開催される(3作とも日本劇場初公開)。日本の観客に向けたベット・ゴードンのメッセージ動画と、著名人のコメントが到着した。
「作品を日本の皆さんにご覧いただけるのは、とても特別で意義深いこと」と切り出すゴードン監督。学生時代に影響を受けたという小津安二郎や溝口健二から、現代の是枝裕和や濱口竜介まで日本の映画作家を称え、さらに「ヴァラエティ」に触れながら映画を共有できる機会を祝福する。
〈コメント〉
制作クレジットに名を連ねているナン・ゴールディンやリジー・ボーデンは私も大好きなアーティストたちです。彼女らの作品に自伝的な要素があるように、ベット・ゴードンの映画も当時の社会が生々しく記録されているように感じました。
ままならない状況で、自分が破滅にむかっているかもしれないと予感しつつも欲望のままつき進んでしまう様子が孤独で痛々しくも、映画のまなざしは優しく見守るように温かかったです。
──遠藤麻衣(俳優、美術家)
「エンプティ・スーツケース」と「エニバディズ・ウーマン」を経て作られた「ヴァラエティ」は、思いもよらない方向へ突き進み、クリスティーンは社会や恋人に愛想を尽かしたかのように自由に勝手にトランスフォームを遂げてゆく。常識も正解も、この作品のなかではまるで無益なのがひたすら嬉しい。ざらついた質感でみる夢のearly80sニューヨーク。わたしも今すぐSIN CITY(悪徳の都)という名の口紅を手に入れないと。
──遠藤倫子(映画zine「ORGASM」発行人)
男たちの幻想が渦巻くポルノの世界。ベット・ゴードンは大胆に「もう一つ別の物語」を女の眼差しと欲望で切り込む。女たちが棲息するイースト・ヴィレッジは刺激的で、予想外の好奇心と快楽、そして危険に満ちあふれている。そこはまさにポスト・アケルマンのニューヨークだ。
──斉藤綾子(映画研究者、明治学院大学文学部教授)
三作品とも、ずっと語られてこなかった第二波、第三波フェミニズムのなだらかな繋がりを証言していた。わたしの憧れたNYを体現するアーティストたちの若かりし姿、表現の荒っぽさ、生々しさの記録にとんでもなく興奮した!
──長島有里枝(アーティスト)
やさぐれてるけど暖かい色調で映し出される、今では失われてしまったニューヨーク。これはパティ・スミスとかキム・ゴードンとかデヴィッド・バーンの本で読んだやつ! パンク/ニューウェイヴ/ポストパンク好きなひと必見。
──野中モモ(翻訳者、ライター)
ヒッチコック的な取り澄ましたブロンド女性を、『タクシードライバー』にでも出てきそうなポルノ映画館のチケット売り場に座らせ、暗黒街とつながりのあるらしい胡散臭い紳士を尾行させる──この心躍る設定によって、『ヴァラエティ』のベット・ゴードンは男女間の視線の政治学を鮮やかに反転してみせた。その遊戯的な秩序転覆ぶりは、『勝手にしやがれ』で映画に開眼したというだけあって、ゴダールにも通じる挑発に充ちている。
──堀潤之(映画研究者、関西大学文学部教授)
『ヴァラエティ』──1980年代初頭、NY、女、という括りで言えば、アベル・フェラーラ『天使の復讐』に遭遇したとき以来の衝撃だった。制作から40年を超える時を経た今、日本でクリスティーンはどう語られるのか。
──渡辺佐智江(翻訳家)
配給・宣伝:プンクテ
︎ 米国インディペンデントの先駆的映画作家、ベット・ゴードンの特集開催
︎ 米国インディペンデントの先駆的映画作家、ベット・ゴードン特集。予告編公開
記事提供元:キネマ旬報WEB
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