カップを背に素振り、さらには“空との交信”? 謎多きルーティンを持つ32歳・小西貴紀がV争い
<三井住友VISA太平洋マスターズ 3日目◇9日◇太平洋クラブ 御殿場コース(静岡県)◇7262ヤード・パー70>
大会歴代覇者や実力者がリーダーボードの上位にそろうなか、“謎”のルーティンで一際、存在感を放つ選手がいた。ツアー未勝利の32歳・小西貴紀だ。「68」、「67」の3位で決勝ラウンドに進むと、3日目も「68」と伸ばし首位と2打差の4位タイ。善戦を続けている。
そんな小西だが、変わったルーティンの持ち主だ。グリーン上では度々、カップを背にして素振りをする。その心は「イメージがいいから」。あえて下り傾斜を選んで素振りを行うのが小西流。そのため、状況によってカップに背を向けたり、反対方向に素振りをしたりする訳だ。それによって「構えた時に入りそうな雰囲気がでてきた」そうだが、その理由は「なんで分からない(笑)」。
今季は16試合に出場。開幕戦こそ決勝へ進んだが、そこから11試合連続で予選落ちの「だいぶ苦しかった」時期を過ごした。そして、このルーティンを編み出すと一気に復調。「ANAオープン」から今大会まですべて決勝へ駒を進めている。
“謎”のルーティンはもうひとつある。両手の人差し指を空に突き出し左右の指を何度も見る。ティイングエリアやグリーン上でも行い、一見すると空との交信? とも思えるような動き。これにはギャラリーからも『一体あれは何?』との声もちらほら聞こえる。
例えば、金谷拓実はグリーン上でパターを水平に持ってラインを読むルーティンはおなじみ。小西も傾斜を確認しているのかと思いきや、「目が固くなった時にやっている」と意外な回答。どうやら眼球の力をほぐすために行っているようだ。これには同組だった今平周吾からもツッコまれたそうで、「同じことをやられた」と明かす。
ルーティンの謎が解明できたとろこで、ここまでのラウンドを振り返る。「70~80点くらい。打たなくてもいいボギーもあったので」と、自己採点は高いものの伸びしろはまだある。さらに現在の賞金ランキングは79位(592万700円)と、来季シード権獲得のボーダーラインとなる65位圏外に位置しているが、今大会は優勝賞金4000万円のビッグトーナメントということもありシード獲得の可能性も十分にある。もちろん、初優勝にも期待がかかる。
「いい位置なので、今週でシードを決めることが最低ライン。ぜひ勝ちたい」。どこかほんわかしたキャラクター。最終日は今平、そして谷原秀人と大会覇者とのペアリング。試合を見る際は、ぜひ独特ルーティンに注目だ。(文・齊藤啓介)
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