HS40m/sでも最長265ヤード! 『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』はカーボンフェースブームを再燃させる!?
ドライバーのヘッドスピード40m/sのアマチュアゴルファーでも、最新ギアを使いこなせるのか? ベストスコア「67」の元競技ゴルファーでロマン派ゴルフ作家の篠原嗣典が実際にコースに持ち込んで検証しました。
ヤマハは、『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』を2024年9月20日に発売。同時発売の『INPRES DRIVESTAR TYPE/D DRIVER』は姉妹モデルです。
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』のコピーは“8軸カーボンフェース搭載 高初速+正統派形状つかまり過ぎをおさえて飛ばす”です。
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、契約プロの意見を取り入れて、本格的な部分に磨きをかけたと想像すると、ワクワクしてきます。
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』で注目するポイントは、「OCTA ANGLE CARBON FACE(オクタアングルカーボンフェース)」です。“カーボンフェースドライバーの常識を覆す”という強気は、三菱ケミカル株式会社とヤマハの共同開発で生まれた純国産の「8軸カーボンフェース」に自信がある証拠です。
そもそも、カーボンの技術は日本が世界をリードしているのは有名な話です。外国ブランドのカーボンフェースのテクノロジーなど、国産のメーカーが本腰を入れたら、あっという間に追い越していくことは予測されていました。
ちなみに、今まで市場に出てきたカーボンフェースは、4軸と、6軸です。数が多ければ良いというわけではないのですが、繊維の方向には意味があり性能に直結しますし、強度を保ちながら、重量は軽いという魔法のようなフェースになっているのが「8軸カーボンフェース」です。効果としては、フェースのどこに当たっても高初速を可能にするそうです。
「Counterweight System(カンターウェイトシステム)」は、クラウンとフェースをカーボンにしたことで生まれた余剰重量を飛距離とやさしさに必要な重心設計に利用するシステムです。慣性モーメント9Kで、打点ブレに強いヘッドになっています。
最後に注目したのは、打音と打感へのこだわりです。音叉のロゴマークのヤマハだからこそ、カーボンフェースドライバーの打音は他社とは違うのだと明確になることを期待をしてしまいます。
試打した『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、ロフトは10.5度です。シャフトは、専用設計の「SPEEDER NX for Yamaha M-425D」のSフレックスです。
試打した日は、晴れ、気温は24℃~29℃。微風。使用したボールは、クラブだけの影響に敏感になるように使い慣れた『TOUR B X』です。『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』のカーボンフェースは、飛ぶのか?楽しんで試打しました。
【打感・打ち応え】
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』の音量はちょうど良い大きさです。音質は、濡れた鞭系と硬質系のミックスで締まった音、残響も美しい。カーボン感はありません。打ち応えは、軽く軽快。手応えは、クリアな芯感があり、敏感です。未知の領域と思えるほど芯が広いのです。
【弾道・球筋・スピン性能】
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』の弾道は、高弾道で、ナチュラルに打つと軽いドロー。打てなくはないですけれど、フェードは打ちづらい。左に行きにくいチューニングは完璧。軽いドローを連発するのが正解だと考えると、急にやさしいドライバーに。ランもしっかりと出ます。
【飛距離性能】
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』の試打ラウンドの平均飛距離は240ヤードでした。最高飛距離のホールは265ヤード。2024年の試打の最高飛距離。軽いドロー専用だと決めれば、打つほどに飛距離も安定すると感じました。
【ロマン派ゴルフ作家語る】
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、アドレスビューが売りだといえるほど、高い完成度を誇っています。何の文句も浮かばない無骨で昔ながらのシェイプとヘッドの高さです。大好きです。本格的というクラブは、こうあって欲しいと思わせてくれました。
しかし、打ってみてびっくりしました。アドレスした雰囲気で、左に行かず、フェードが得意なのか、と考えて、気持ち良く打ち、手応えも十分なのに、ボールは逆球になってドローしたのです。次のホールも同じでした。4ホール目から、もしかして、と考えて、ドローを狙ったら、軽いドローで完璧なボールが出ました。飛距離もしっかりと出たので、無理をせずに、そこからは軽いドロー狙いで打ち続けました。
最長飛距離のホールは、最終ホールでした。やや追い風だったことを考慮しても、265ヤードにはビックリです。約10ヤードのドローで、高弾道でしたが、初速が出ている感じがありました。
試打ラウンドを終えて、不思議なドライバーですが、『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、飛距離が出ることが魅力で、色々なボールを打つのではなく、軽いドロー専用というように出やすいボール専用と考えて飛ばすようにするのが、使い熟すコツなんだなぁ、と思いました。
平均スコアもかなりハイレベルです。『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、一発だけではなく安定して飛ばせます。
過去の『INPRES』 シリーズのドライバーを知っている人は、やさしさにこだわりすぎて、変なドライバーだという印象を持っているかもしれませんが、新しい『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、そういう目立つ奇妙な部分は皆無です。ソールを見ても、アドレスビューでも、シンプルで飾り気すらありません。過去の印象に縛られて、打たずにスルーするには、『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』はもったないクラブだと断言します。
ある程度ドライバーが打てて、でも、ヘッドスピードが40m/sしか出ないというよくいるタイプのゴルファーに、『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』をオススメします。上手くハマれば、飛ばし屋の気分を味わえる可能性がありますし、平均飛距離も伸びる可能性が高いのです。
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、カーボンフェースだと、途中から忘れて、打つことに夢中になっていました。こういうことは、珍しいので、それだけ『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』が夢中にさせる要素があるということです。
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』は、カーボンフェースを採用するか?というクラブメーカー内の議論を再び燃え上がらせるのかもしれません。
【試打ギアスペック】
『INPRES DRIVESTAR TYPE/S DRIVER』
ヘッド素材 811チタンボディ + カーボンクラウン + ステンレスウェイト
フェース素材 8軸カーボンフェース
ロフト 10.5度
ライ角 59度
シャフト SPEEDER NX for Yamaha TM-425D (S)
長さ 45.75インチ
【著者紹介】篠原嗣典
ロマン派ゴルフ作家。1965年東京都文京区生まれ。中学1年でゴルフコースデビューと初デートを経験し、ゴルフと恋愛のために生きると決意する。競技ゴルフと命懸けの恋愛に明け暮れた青春を過ごし、ゴルフショップバイヤー、広告代理店、市場調査会社を経て、2000年よりキャプテンc-noのペンネームでゴルフエッセイストに。日本ゴルフジャーナリスト協会会員。ベストスコア「67」、ハンディキャップ「0」
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