【試乗】氷上で驚愕の進化…ブリヂストン「ブリザック WZ-1」はドライも快適か?
イチオシスト
ブリヂストンの最新「ブリザック WZ-1」を氷上と公道で試乗。驚くべきグリップの進化と、サマータイヤ並みの静粛性を確認。その実力と一部の課題を報告する。
降雪地帯でナンバー1の販売力を誇るスタッドレスタイヤ、ブリヂストンブリザック。その最新モデルとなるWZ-1をアイススケートリンクと一般道でテストすることができたのでレポートする。
驚くほどの進化
商品の詳細は発表会のレポートをお読みいただくこととして、実際に走らせてみたい。
まずは注目度の高いスケートリンク、つまりアイスバーンでの試乗から始めよう。テスト車は現行ヤリスで、タイヤサイズは185/60R15 84Q。同時にWRX3(ステッカーなし車両)と比較することができた。
結論から先の記してしまうとその進化代は非常に大きい。例えば完全停止時からアクセルペダルを床まで踏み込むとどちらもトラクションコントロールがかかりながらじわじわと加速し始めるのは共通だが、途中からWZ-1はまるでグリップが回復したかのようにグイグイと加速し始めるのだ。ブレーキングポイントでWRX3は20km/h程度であるのに対し、WZ-1は25km/hを超えようとしていた。実は途中で加速度が強くなり始め危険を感じアクセルを戻した結果なので、しっかりと氷をつかんでいることの証左といえる。同時にストッピング性能も向上しており、思い切りブレーキペダルを踏みつけてABSを作動した状態を観察すると、WZ-1の方が明らかに減速Gを強く感じた。
これらはブリザックの大きな特徴である発砲ゴムに浸水性向上ポリマーを採用したことが大きそうだ。これまで撥水できていなかった氷上の水とタイヤのゴムとを分子レベルで引き寄せ合うことでグリップ力を向上させた新技術だ。同時にL字タンクサイプの効果もある。これまでは単にタイヤに着いた水をサイプにより除水させていたのだが、そこに加えて、氷上の水をサイプを使って吸い上げてから除水するという機能を追加したのだ。これによって、除水効果が進化して接地面積を最大化。結果としてタイヤのグリップ力を高められたのである。
これらの結果として定常旋回性能も大きく変わった。WRX3がおよそ9km/hで滑り始め、10km/hを超えるとだらしなくフロントが逃げて行ってしまうのに対し、WZ-1は同じくらいで滑り始めるものの、そこから12km/hくらいまで何とか耐えるのである。
これだけでも氷上性能が大幅に上がったことは十分に理解できた。
ドライの第一印象はコンフォートタイヤ並み
一方で、ドライ性能はどうか。降雪地帯であっても雪が解けてドライ路面のタイミングもあるだろうし、非降雪地帯であればそのほとんどがドライ、あるいはウェット路面となるので、そういったシーンでのスタッドレスタイヤの性能も大いに重視したいところだ。
まずは同じくトヨタヤリスでブリヂストンの標準的タイヤと位置付けられるニューノとの比較だ。
ニューノは癖もなく極めて標準的な印象を持つタイヤであるが、あえてネガを挙げるならば、ロードノイズが大きく、また目地や段差などの継ぎ目などを超えると突き上げ感が残るものだった。言い換えるとタイヤの表面が固く、減りにくいタイヤという印象だ。
そこからWZ-1に乗り換えてみると、目地や段差を超えた時のしなやかさが感じられるとともに、スタッドレスタイヤで良く感じられるステアリングを切った時にぐにゃりとした感覚が全くないことが大きな特徴といえ、シャープさが感じられた。
また、転がり抵抗はニューノよりも低く、かつ、ロードノイズも低いので上質なサマータイヤといわれても、多くの人は気付かないレベルだ。
そうすると、このまま1年を通して履き続けたくなるところだが、やはりウェット性能は低いという。今回は試すことができなかったのでエンジニアに話を聞くと、やはりウェット性能はニューノよりも低いという。
シビアな面も
続いてドライの高速道路などをアウディ Q5(235/55R19 101Q)で走らせることができた。乗り始めるとやはり非常にコンフォート性が高いタイヤという印象で、ロードノイズも静かで転がり抵抗も少なく感じた。一方で70km/h以上の速度域になってくると徐々にタイヤの表面の固さが気になってくると同時に、直進安定性がいまひとつで、常にステアリングの修正舵が必要になってきた。エンジニアもこれは確認しており、原因はわからないもののステアリングの入力に対してシビアな挙動を示すクルマだとこういった挙動が出やすいとのこと。時機を見て改めて他のクルマでもテストをしてみたい。
さて、全体を通して好印象だったブリザック WZ-1。ここまでレベルが上がってくると、オールシーズンタイヤと同様に1年を通して履き続けたくなるところだが、ウェット性能を考えるとまだ止めた方が賢明だ。どうしても氷上性能に重きを置いているためにウェット性能は犠牲になってしまうからだ。あくまでもブリザックはスタッドレスタイヤとしての性能が高くなったと捉えて欲しい。
(内田俊一)
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