「どれを選ぶか繊細な判断が必要になる」アダム・スコットが語った“ゴルフギア”へのこだわり
イチオシスト
国内で2連戦をこなした後、グローバルブランドアンバサダー契約を結ぶユニクロ主催のジュニアイベントに参加したアダム・スコット(オーストラリア)に直撃インタビュー。トーナメントで使用するクラブやウェアなど、“ゴルフギア”に関するこだわりについて聞いた。
◇
■たくさんの選択肢がある中で新しいクラブをテストできるのはとても楽しい
海外メジャー「マスターズ」を含む米国男子ツアー通算14勝を挙げ、2014年には世界ランク1位になった経験を持つアダム・スコット(オーストラリア)。45歳のベテランとなった今も、米国男子ツアーのシードを保持し、第一線で戦っている。
パワーと技術を備えた選手が次々と台頭する米国男子ツアーにおいて、長きに渡り活躍を続けられている要因のひとつに巧みなギア選びがある。
デビュー当時のスコットは生粋のアスリートゴルファーで、クラブセッティングもアイアンを2番からインするなどハードそのものだった。2013年にマスターズを制した時もパターこそ現在に近い長尺仕様のモデルを使っていたが、3Wの下に2番UTを入れ、アイアンは3番から使用するなど、ショット系のクラブは若い頃の流れを踏襲するものだった。
しかし、2022年からクラブ契約がフリーになると、スコットのセッティングは時代に即した多様性のあるものに変化した。3Wをロフト13.5度の「ミニドライバー」に置き換え、パターは今、話題となっている「ゼロトルク」をいち早く取り入れた。トーナメントによっては7Wや9Wといった「ショートウッド」を投入することもある。米国男子ツアーにおいてもギア選びに強いこだわりを持つ選手の一人になったと言えるだろう。
「今のゴルフ界には多くのクラブが存在し、たくさんの選択肢がある。いろいろなモデルを試すことができるのはとても楽しいことだ。でも、ただ闇雲に新しいものを取れればいいというわけでもない。何を使うかは繊細な判断が必要になる。大切なのはコースでどんなプレーをするか、ということだ」
スコットは、現在の米国男子ツアーにおいて「ミニドライバー」の重要性が増していると分析する。
「PGAツアーではティイングエリアからミニドライバーを使うことが増えた。ティショットでは飛距離も必要だけど、コントロール性も同時に求められるようになったからだ。コースレイアウトによっては多くの選手がミニドライバーを採用している。コースがプレーヤーに何を求めてくるのか。進化するものに対して、自分もクラブの選択を変えて対応するようにしている」
一方で、プロを志す日本のゴルファーに対しては自分に合ったクラブを使うことの重要性を説いた。
「今の世の中では情報やテクノロジーの進歩で、自分のニーズに合った“フィッティング”を受けられるようになった。上達を目指すゴルファー、特にプロになろうとするジュニアには専門知識を持った人にしっかりと時間をかけてフィッティングを受けて、最適なクラブを作ってほしいと思う。自分に合ったクラブを使うことで効率的な上達が望めるはずだ」
後進の育成にも熱心なスコットだからこそ、言葉にも力がこもる。本日2日から行われている「ユニクロ日本ジュニアゴルフカップ2025/ 8地区対抗戦」(主催:日本ゴルフ協会、特別協賛:ユニクロ)のウェルカムレセプションでは、ビデオメッセージでジュニアたちを激励した。
■ゴルフウェアは“パーソナリティ”を表現できることが大切
スコットはプレー中に着用するゴルフウェアについても独自のこだわりを持っている。
「ゴルフスイングは非常にダイナミックなもの。ゴルフウェアには動きを邪魔せず、パフォーマンスを最大化するような性能が必要になる。そしてそれ以上に大切なのが、自分のパーソナリティ、つまり性格や人間性とゴルフウェアのデザインがマッチすること。ゴルフは自分でユニフォームを選べる稀なスポーツで非常に自由度が高い。自分がプレーで表現したいことを踏まえて、着る服を選ぶことが大切だ」
スコットと言えば、日本でおなじみの「ユニクロ」とグローバルアンバサダー契約を結び、同社のゴルフウェアをトーナメントで着用している。
「どうすればパフォーマンスが出せるかを一緒に考えてきたし、今、着ているウェアの性能にはすごく満足している。ユニクロはさまざまなコラボレーションを行っていて、多くのデザインのウェアがある。パーソナリティを表現する上で最適なブランドの一つだ」と話す。
さらに「ユニクロで最も魅力を感じているのは“LifeWear”というコンセプトだ。例えばポロシャツはゴルフ用としてだけでなく、仕事でも着られるし、日常生活でも着ることができる。そこには用途を限定するような固定概念が存在しないんだ。ゴルフは“伝統的なスポーツ”という一種の固定概念に囚われがちだけど、ユニクロとパートナーになることで、それを壊せるかもしれないと考えている」と続けた。
固定概念に囚われない思考は、スコットのクラブ選びにも表れている。メーカーにも、モデルにも、番手にも縛られずに、コースに合わせた最適なクラブを選択することができる。この思考こそ、スコットのこだわりであり、強さを支える原動力なのかもしれない。(文・小路友博)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。
