ミンジー・リーの優勝を見て“劇的チェンジ” 仲宗根澄香が「頼りになる相棒」とともに史上3人目のウェイティングVへ
<明治安田レディスゴルフトーナメント 2日目◇19日◇仙台クラシックゴルフ倶楽部(宮城県)◇ 6642ヤード・パー72>
今大会前までの11試合で予選落ちは8度。苦しいシーズンを過ごしてきた仲宗根澄香は、今、「ワクワクした気持ちでゴルフができるのがうれしい」と、その表情に明るさを取り戻しつつある。そこには「頼もしい相棒」と呼ぶパターの存在があった。
今季ベストスコアの「66」で3位につけた初日に続き、2日続けての60台となる「68」をマーク。その要因について聞くと、「長尺パターにトライしているんです。ストレスなくラインとタッチに集中できているので、それがいいスコアにつながっています」という答えが返ってくる。今年の春先頃から「スムーズに腕が動かない」とパターで悩み、それが結果にも色濃く出ていた。
この時には一度、自らゴルフショップを回り長尺パターを試した。ただ、あまりピンとこずに断念。そんななかで、ひとつのシーンが目に焼き付いた。「ミンジーが長尺で優勝したのを見て、私も新しい挑戦をしてみようかなと思いました」。
今年6月の海外メジャー「KPMG全米女子プロ」では、ミンジー・リー(オーストラリア)が長尺パターを使い優勝したことで話題になった。昨年は未勝利に終わったミンジーにとって、これは今季からの新たな取り組み。その姿が刺激になった。翌週の「アース・モンダミンカップ」の練習グリーンに長尺パターが立てかけてあったのを見ると、手に取り、即投入した。
同じく長尺パターを使用する堀琴音に長さやクラブについてアドバイスを求め、しばし試行錯誤。そして、現在では頼もしい存在になっている。テーラーメイドのゼロトルクパター『スパイダー 5K・ZT』のヘッドに、41インチのシャフトが挿さった“相棒”。もともと使用していた33インチのパターから8インチも長くなったが、この大きな変化よりも「意外とタッチは合ったし、チャレンジしたかった」という向上心が勝った。
この日の9番では、段下からの20メートル近い超ロングパットを決めバーディを奪った。「これまでなら届かなかった。うれしい一打でした」。無観客で静寂のコースに、ボランティアの大きな拍手を響かせ、気分もいい。
スコアも一気に2ケタアンダーの10アンダーまで伸ばし、首位との差を2打に縮めた。今回はウェイティングでの出場。今週キャディを務めるコーチからは「絶対に出られると思って準備をしよう」と、気持ちを高めて練習に臨み、それも生きている。クマの目撃情報で一時は開催が危ぶまれたが、「試合をやってもらってありがたいです。挑戦したいので、1試合でも多く出たい」と感謝の想いを胸にプレーしている。
ここで初優勝をつかめば、1988年のツアー制度施行後では17年の「ゴルフ5レディス」を制したO・サタヤ(タイ)、18年の「マンシングウェアレディース東海クラシック」で勝利した香妻琴乃に続く、ツアー史上3人目のウェイティングからの優勝者になる。
パターは「考え方がシンプルになりました。どこにどのタッチで打つかだけに集中できている」というのが、長尺に替えたことによる効能。あすも頭をクリアに、目の前のカップだけを見て、その先の優勝へたどり着きたい。(文・間宮輝憲)
<ゴルフ情報ALBA Net>
記事提供元:ゴルフ情報ALBA Net
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。