「丸亀製麺」の野望と新戦略!北九州「資さん」が関東に進出!:ガイアの夜明け
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イチオシスト:イチオシ編集部 旬ニュース担当
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11月29日(金)に放送された「ガイアの夜明け」(毎週金曜夜10時)のテーマは、「“外食王”に俺はなる!~うどん、負けられない闘い~」。
「天ぷら定食 まきの」「コナズ珈琲」「ラー麺 ずんどう屋」など、さまざまな業態の人気飲食店を傘下に抱える「トリドールHD」。「丸亀製麺」を中核に、国内外に約20ブランド2015店舗を展開するトリドールを率いるのが、創業者の粟田貴也社長だ。
製造業などに比べると世界での存在感が低い日本の外食チェーン。そうした状況を打破するため、粟田氏は「グローバルフードカンパニー」を目指す。その海外戦略の舞台裏に密着した。
一方、トリドールの中核でもあるうどん業界で異変が。北九州のソウルフードとして人気の「資さんうどん」が全国展開へと動き出していたのだ。うどん業界の一強と呼ばれる「丸亀製麺」に挑むが、牙城を崩す秘策はあるのか。
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世界の「トップテン」へ!…“外食王”大いなる野望
「コナズ珈琲」「天ぷら定食 まきの」、大人気の2つの業態を手掛ける「トリドールホールディングス」(東京・渋谷区 従業員:約1万8000人 売上高:2320億円)。
主力ブランドは「丸亀製麺」で、2000年に兵庫・加古川市にオープン。本場・讃岐の製麺所をヒントに、製麺から釜でゆでるところまで調理風景を見せるスタイルが受け、国内で約850店舗(2024年10月末時点)と急成長した。
トリドールは、この他、焼きそば、ラーメン、焼肉丼と、世界で約20の業態を2015店舗展開(2024年10月末時点)。グループを率いるのが、創業者でもある粟田貴也社長だ。
ライバルに位置付けるのは、「マクドナルド」や「スターバックス」といった世界のチェーン店で、粟田さんは「日本の社会構造が少子高齢化に進んでいく中、力強く未来を築くためにも、今のうちにしっかり海外に拠点、ベースをつくっていくのがこれからの成長にとって大切」と話す。粟田さんは、世界を舞台に2027年度に4900店舗まで拡大する計画を打ち出し、すでに動き始めていた。
去年11月。粟田さんは、海外のパートナー企業のトップや幹部たちを本社のテストキッチンに招き、グループの「ラー麺 ずんどう屋」のとんこつラーメンを振る舞った。
ベトナムで「丸亀製麺」をフランチャイズ展開している会社のトップ、レ・バン・メイさんは、「面白い味」と感想を。トリドール副社長の杉山孝史さんは、「イスラム、ムスリムの方に対応できるようにチキン白湯も作っている」とアピールし、パートナー企業に新しいブランドを出店してもらおうと売り込みをかける。
粟田さんに世界戦略を託された杉山さんは、アメリカでMBAを取得後、大手コンサルティング会社に就職。数々のM&Aを手掛けてきた手腕を買われ、5年前、トリドールに入社した。
2022年には、買収した香港のライスヌードルチェーン「タムジャイサムゴー」を都内にオープン。さらに今年、日本からラーメンや焼肉丼の業態を中国・上海へ出店することに成功した。
5月。杉山さんは、次なる目的、タイ・バンコクへ。「タイの市場はアジアの巨大な市場を攻めていく上で非常に重要なマーケット」と話し、市内にある料理学校に向かう。
この日は、傘下ブランドの看板商品「丸亀製麺」のうどん、「ラー麺 ずんどう屋」のとんこつラーメン、「モンスターカレー」のカレーライスを日本と同じ味付けで調理し、一般の人たちに試食してもらうことに。試食後は、杉山さんが依頼した調査員が「食材のバランスは?」など、細かく聞き取り調査する。こうした調査を合計300人に行うと、速報値では、うどんの人気が高かった。
実はトリドールの海外進出は、成功と失敗の歴史でもあった。かつては韓国やケニアにも展開。タイにも一度進出したが、コロナの影響もあり、2020年に業績不振で撤退している。
失敗できない2度目の挑戦…万全を期して、市場調査は巨大企業「CPグループ」とタッグを組んで行っていた。
「CPグループ」は、タイ国内で「セブン-イレブン」を約1万5000店運営する最大の財閥。農業、食品、通信、自動車まで幅広い事業を手がけ、総売り上げは約14兆円に上る。
「CPグループ」の食品部門と手を組めば、タイだけではなく、アジアへの大きな足がかりとなるのだ。
帰国後、トリドール本社に、海外の担当者から3つのメニューの見た目や味の感想など300人分の分析結果が伝えられた。最も評価が高かったのは「丸亀製麺」で、75パーセントの人が「来店したい」と回答。粟田さんは「『丸亀製麺』で先行を走って、次は『モンスターカレー』でタイの国中を攻める。早いスタートを切りたい」と決断した。
プロジェクト開始から1年以上、あとはCP側と契約を交わすだけとなったが、9月25日、思わぬ事態が。パートナー契約を結ぶ最終段階で、CPの食品部門の最高責任者から待ったがかかったのだ。杉山さんは再びタイに飛び、最高責任者とアポが取れないまま、CPの本社に乗り込む。
強みをさらに磨く!負けられない「うどん」の闘い
トリドールが海外展開を推し進める一方で、粟田さんが目を向けていたのが、うどんのさらなる強化だ。「丸亀製麺」の原点ともいえる讃岐広島(香川・丸亀市)に研修施設「心の本店」をつくり、麺職人の育成や地域の活性化につなげたいと考えていた。
粟田さんがこのプロジェクトを託したのが藤本智美さん。藤本さんは、厳しい社内試験を突破した約1700人の麺職人の中で、ただ1人「麺匠」の称号を持つ、うどんの番人だ。
6月、讃岐広島。藤本さんは小麦を収穫するために、麺職人を連れて、山脇千枝子さん(94)の畑を訪れた。山脇さんはトリドールに小麦のいろはを教えた師匠で、今回も「心の本店」のために、小麦畑を貸してくれた。
「小麦を刈って小麦粉にし、水を合わせて手作りうどんにしたい」と藤本さん。麺職人に、小麦を育てるところから収穫までを学んでもらい、うどん作りの原風景を感じてもらう。山脇さんや地元の人たちとの交流も「心の本店」の目的の一つ。
世界を目指す今だからこそ、うどんの原点を極める…。今後この施設を、全国の麺職人が訪れる予定だ。
北九州のうどんが全国へ…ファミレスの雄が描く野望とは
福岡・北九州市。地元で人気のチェーン店「資さんうどん」は、多くが24時間営業で、ソウルフードとして親しまれてきた。麺はコシの強さより、モチモチ感がウリ。そこにサバ節、昆布、椎茸などからとった濃くて甘いつゆをかける。
一番人気は甘めに煮こんだ牛肉とごぼうの天ぷらが載った「肉ごぼ天うどん」(770円 ※店舗により異なる場合あり)で、年間500万個売れる「ぼた餅」とミニ丼のセットは890円(※店舗により異なる場合あり)。太巻きやおでんなど、100種類以上のメニューが楽しめる。
「資さん」(福岡・北九州市)は北九州を中心に72店舗を展開し、売上高は152億円(2024年8月期)。1976年、大西章資さんが創業するが、後継者がいなかったこともあり、経営は投資ファンドへ。その後、事業拡大を託されたのが大井裕之さんだ。
「個人としても、人生でこれだけの(魅力ある)商品を持った業態に出会うことはないと思っている。日本全国に広めて、いろんな方に食べていただきたい」(大井さん)。
大井さんは、「すき家」などを展開する「ゼンショーグループ」で活躍した後、6年前「資さん」に入社。九州北部から店舗の拡大を始め、去年九州全県に出店完了し、大阪進出も果たした。そしていま、関東進出に向けて動き出していた。
7月。テストマーケティングするため、東京・神田で3日間限定の店舗をオープン。
九州の「資さんうどん」が関東に来る…当日は店の前に400人もの行列ができ、先頭の客は、なんと4時間も並んだという。
大井さんが意識するのは、業界の一強「丸亀製麺」で、気になるのは商品の価格帯。
今回は価格調査をするため、九州では890円で売られているセットを1200円で販売した。家賃や人件費などコストが高い関東進出には、こうしたテストが欠かせない。
価格を高く設定したものの、店は3日間で1200食を販売。客は「セットで1200円だったら全然(高くない)。こっちだったら」と話す。貴重な客の声を聞くことができ、「味に関しては好評で、少し安心した。受け入れていただけるかなと自信につながった」と大井さん。
それから約2カ月後の9月6日、ファミリーレストラン業界大手「すかいらーくホールディングス」が「資さん」を買収すると発表した。
「ガスト」「ジョナサン」「バーミヤン」など、約3000店舗を展開する「すかいらーくホールディングス」谷 真会長が、ガイアの単独インタビューで語った真意とは――。
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記事提供元:テレ東プラス
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