桑木志帆がメジャー初優勝に王手 “つかんで離さない”ロブスター柄のパンツは完全Vの意思表示?
<JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ 3日目◇23日◇宮崎カントリークラブ◇6497ヤード・パー72>
つかんだら絶対に離さない。国内メジャー初制覇を狙う桑木志帆の思いはウェアにこもっていた。白地にハサミがある赤い甲殻類のプリントが施されたパンツ。4バーディ・1ボギーの「69」とただ一人、3日連続で60台で回り、トータル12アンダーで初日からの首位をがっちりキープした21歳が声を弾ませ、念を押した。
「あれはザリガニじゃないですよ。ロブスターです。間違えないでください。お高いエビです。つかんで離さないって、わけじゃないけど、エビは大好き。(ウェアも)気に入っています。おとといの夜は伊勢エビも食べました」
今季のメルセデス・ランキング1位が決まった1学年下の竹田麗央との最終組。若き女王を相手にしても臆することはなかった。1番は残り137ヤードの2打目をピンそば2メートル、2番は3メートルを沈める先制パンチの2連続バーディ。490ヤードの9番パー5は3日連続で2オンに成功し、5メートルのイーグルパットは惜しくも外したが、難なくバーディを奪った。
時おり強い風が吹き、ピンポジションも難しかった一日。「トータル的にはボチボチです。きのうとは全然状況が違うなか、うまくできた方だと思います」。フェアウェイキープ率は64.2%(9/14)で、3日間平均は50%(21/42)。さらに3日間のパーオン率は66.7%。スコアメイクに欠かさない2つのスタッツが低調でも、トップをキープしている大きな要因の一つはキラリと光る小技の冴えだ。
グリーン左横のバンカーにティショットを落とした8番パー3は2打目をピンそば50センチにピタリと寄せた。2オンを狙った13番パー5は左足上がりの難しいライからピンに寄せ、2パットでパーをセーブした。
「バンカーは得意です。昔から練習していました。理由はよくわからないけど、楽しい。小学生のときくらいだと思うけど、練習場にあったバンカーで3時間くらい打っていました」
会場の宮崎CCのバンカーの砂は、女子ツアーでは珍しい黒土。粒子が小さく重い海砂を使用し、難度は高いが、幼いころからの“砂遊び”で自然に培った感性で苦手意識はない。「踏んだ感じは硬く感じるけど、意外と砂が入っていてやわらかい。でも、スピンをかけようと思えば、かけられるので、いつも通りに振っています」。まさに、好きこそ物の上手なれの適応力。厄介なティフトン混じりのグリーン周りのラフからもしっかりパーを拾い、3日間でボギーはわずか3個の安定感を誇っている。
スタート時の2位との3打差をキープして迎える最終日。このまま逃げ切ることができれば、国内メジャーでは9月に行われた「日本女子オープン」の竹田麗央に続き、日本選手では11人目(12度目)の完全Vを達成する。
「あまり意識してないけど、差が縮まってきたら多分しちゃうかな。あすが初日だと思って、いつも通りに頑張りたいです」。6月のツアー初優勝からシーズンを締めくくる3勝目で1年を終わりたい。「明日もロブスターのパンツでプレーしようかな」。気持ちは自然体。王手をかけたメジャー初Vはこのまま離さない。(文・臼杵孝志)
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